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祝田神社 (兵庫県たつの市揖西町清水)

社号祝田神社
読みはふりた
通称
旧呼称
鎮座地兵庫県たつの市揖西町清水
旧国郡播磨国揖西郡清水村
御祭神石龍比古命、石龍比売命(もしくは玉帯志比古大稲男神、玉帯志比売豊稲女神)
社格式内社
例祭9月2日

 

祝田神社の概要

兵庫県たつの市揖西町清水に鎮座する神社です。姫路市林田町上構に鎮座する「祝田神社」と共に式内社「祝田神社」の論社となっています。

『播磨国風土記』揖保郡に見える「出水里」は当地に比定されており、それによれば次のように記されています。

『播磨国風土記』(大意)

出水(イヅミ)里はこの地に清水が出るため名付けた。

ここに美奈志(ミナシ)川があり、その由来は次の通りである。

伊和大神の子の石龍彦命とその妹の石龍姫命は川の利水で争い、兄神は北方の越部村へ流そうと思い、妹神は南方の泉村へ流そうと思っていた。

兄神は山の峰を踏んで水を流し、これを見た妹神は対抗して櫛を挿して水を塞ぎ、峰の辺りに溝を開き泉村へ流した。これに対して兄神は泉村の川の流れを奪って西方の桑原村へ流した。

妹神はこれを許さず、密樋(=地下を流れる水路)を作って泉村の田のある方へと流し出した。このために川の水は絶えて流れず、故に「無水(ミナシ)川」と名付けた。

ここにおける美奈志川=無水川とは当社の西方を流れる中垣内川に比定されています。

『角川地名大辞典』によればこの説話は中垣内川の自然状態をよく組み込んでいるといい、亀の池を源流とする中垣内川が「井関三神社」奥宮の北方の峰で侵食による河川争奪を受けて北方へ流れたので石垣を築き溝を掘って防いだといい、また密樋はこの地が扇状地を形成しているため伏流水となっている様子を示しているとしています。

出水里=泉村の地名も、この扇状地の扇端から水が湧き出した様子を示したもので、当地の地名「清水」もこれに因んだものでしょう。現に当地のすぐ西方に「小柳の清水」があり、当地が湧水地帯となっていることがわかります。

 

さて、当社の御祭神は上記の『播磨国風土記』の記事に登場する「石龍比古命」「石龍比売命」の二柱となっています。

ただし、当社の案内板に記す由緒は何故か石龍比古命は「玉帯志比古大稲男神」、石龍比売命は「玉帯志比売豊稲女神」に変更されており、その上で里人が五穀の神として泉村の田に社殿を営んだのが当社であるといい、御祭神もこの二神となっています。

この「玉帯志比古大稲男神」「玉帯志比売豊稲女神」とは『播磨国風土記』に美嚢郡の高野里に鎮座する祝田社に祀られる神として記されています。

この美嚢郡高野里の祝田社は三木市本町に鎮座する「大宮八幡宮」に比定されており、当社ではありません。

そもそも当地はかつて揖保郡(後に揖西郡)であり、美嚢郡の祝田社とは無関係です。

ただ、「玉帯志比古大稲男神」「玉帯志比売豊稲女神」はその名の示す通り稲に関する神で、玉とは魂であり、田に降臨する稲霊の依代となる祝(神主)を神格化したものと考えられます。

となれば伏流水による灌漑で田が開かれた当地に鎮座する当社の祭神としては候補として考え得るものとなってきましょう。

なお、式内社「祝田神社」の論社について、江戸時代の文献の殆どは姫路市林田町上構に鎮座する「祝田神社」に比定しており、当社に比定しているのは『播磨鑑』くらいです。

それによれば当社の森を「ホウダが森」と呼んでいたことを根拠としています。

これに対し姫路市林田町上構の「祝田神社」は林田を祝田の転訛したものとしているものの、林田の地名は『播磨国風土記』にも見える古い地名であることが判明しており(※『播磨国風土記』が知られるようになったのは江戸時代末期以降)、論拠としては弱いものとなってしまっています。

ただ当社にしてもその鎮座地は古社のものと思えず、いずれが式内社「祝田神社」だったかを決めるのは難しいところでしょう。

 

境内の様子

当社は清水地区の広大な田圃に囲まれた中に鎮座しています。

当社境内のすぐ南東側に鮮やかな朱塗りの両部鳥居が建っており、これが当社の一の鳥居となるのでしょう。

 

境内手前から伸びる参道上には二基の石造鳥居と多数の朱鳥居が南向きに並んでいます。

この後方にある境内の森がかつて「ホウダが森」と呼ばれていたようです。

 

石垣で囲われた境内へ入っても参道上に朱鳥居が並んでいます。

 

境内へ入ってすぐ右側(東側)に手水舎が建っています。

 

多数の朱鳥居をくぐって参道の正面奥に社殿が南向きに並んでいます。

拝殿は桟瓦葺の平入入母屋造に唐破風の向拝の付いたもの。

 

拝殿後方に玉垣に囲われて建つ本殿は銅板葺の一間社流造。

本殿裏に鳥居が建っており、後方からも参拝できるようになっています。

 

本社社殿の左側(西側)に隣接して「王子八幡神社」が南向きに鎮座。御祭神は「誉田別大神」。

鳥居、桟瓦葺の平入入母屋造の拝殿、銅板葺の一間社流造の本殿で構成されています。

 

当社の西方200mほどの地に「小柳の清水」と呼ばれる湧水があります。

当地の地名「清水」、また『播磨国風土記』に見える「出水里」の名が示す通り、当地が扇状地の扇端であり湧水地帯であることがわかります。

案内板

小柳の清水(播磨十水)

 

タマヨリ姫
水が湧き出るから清水って地名なんだ!
その様子は『播磨国風土記』にも記されているわ。
トヨタマ姫

 

由緒

案内板

式内祝田神社縁起

 

地図

兵庫県たつの市揖西町清水

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