社号 | 一尾背神社 |
読み | いちおせ/ひとおせ |
通称 | 水分さん 等 |
旧呼称 | 水分社 等 |
鎮座地 | 奈良県五條市北山町 |
旧国郡 | 大和国宇智郡北山村 |
御祭神 | 水分神、一尾背神 |
社格 | 式内社、旧村社 |
例祭 | 10月8日 |
式内社
一尾背神社の概要
奈良県五條市北山町に鎮座する式内社です。
当社の創建・由緒は詳らかでありません。
当社は江戸時代以前は「水分社」と称し、現在も地元では「水分さん」と呼ばれているようです。
吉野川の支流である「西川」と、そこへ流入する名称不明の小川の合流するV字の地に立地しており、まさに水の分配を司る水分神を祀るに相応しい地であると言えます。
当社が創建当初からこの地に鎮座していたなら、当社は水源の地として水神を祀ったことが考えられるかもしれません。
一方で当社の神を葛城地方の山の神である一言主神とする説もありますが、根拠はなく社名からの連想と言わざるを得ません。
現在の御祭神は「水分神」「一尾背神」の二柱です。一尾背神は式内社の比定後に社名を神名として新たに加えたものと想像されますが、本来は一座であり、上述のように一尾背の神とは水神、水分神であった可能性もあります。(ただし『式内社調査報告』は水分神とする説に否定的)
しかしながら当社は伝承に乏しく、詳しいことは不明としか言いようがありません。
境内の様子
当社は北山町の集落から離れた川の上流の地に鎮座しています。
境内の入口には桟瓦葺・平入入母屋造の割拝殿が建っており、前面は簡易な懸造に、そして通路は石段になっています。
このように斜面上に割拝殿を設けて通路が石段となっている例は和歌山県で比較的よく見かけるものです。
割拝殿の通路を抜けると広い空間になっており、正面に積まれた石垣の上に本殿および境内社が南向きに並んでいます。
石垣下に配置されている狛犬。砂岩製です。
石垣上の正面に朱塗りの両部鳥居が建ち、その奥に瑞垣に囲まれて銅板葺・一間社春日造の本殿が南向きに建っています。
本殿は朱をはじめとする極彩色が細かく施され、さらに壁面や脇障子には騎馬や龍など鮮やかな絵が描かれており、実に豪華絢爛な社殿となっています。
本社本殿の左側(西側)に境内社が南向きに鎮座しています。社名、祭神は不明。
社殿は銅板葺の春日見世棚造。
本社本殿の右側(東側)には「高天岸野神社」が鎮座しています。
朱鳥居が建ち、社殿は銅板葺の一間社春日造です。社殿は新しく、近年になって新たに建てられたもののようです。
経緯は不明ですが式内社の「高天岸野神社」から勧請したものと思われ、恐らくあまりに参拝に不便な山奥の深い地にあるため里宮的なものとして祀られることになったのではないでしょうか。
高天岸野神社と本社が並んで鎮座している様子。
石垣下の左側(西側)の基壇上に二社の境内社が南向きに並んでいます。いずれも社名・祭神は不明。
社殿は、左側(西側)は銅板葺の春日見世棚造、右側(東側)は銅板葺の流見世棚造と異なる形式が採用されています。
当社境内の東側を流れる小川に沿ってシャガが群生しています。
当社はこの名称不明の小川と西川の合流するV字の地に鎮座しており、実際に訪れてみてもまさに水神を祀るに相応しい地であることが実感できます。
地図
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