社号 | 佐備神社 |
読み | さび |
通称 | |
旧呼称 | |
鎮座地 | 大阪府富田林市佐備 |
旧国郡 | 河内国石川郡佐備村 |
御祭神 | 天太玉命、松尾大神、春日大神 |
社格 | 式内社、旧村社 |
例祭 | 10月17日 |
式内社
佐備神社の概要
大阪府富田林市佐備に鎮座する式内社です。
社伝によれば天安二年(858年)に創建されたと伝えられています。
その他由緒は詳らかでありませんが、『新撰姓氏録』右京皇別に豊城入彦命の後裔であるという「佐味朝臣」が記載されており、一説にこの氏族が当地にも居住し祖を祀ったとも考えられています。
一方で「天太玉命」が祀られていることから忌部系の氏族が当社を奉斎したとする説もあります。
文献では当社の祭神は「天太玉命」および「松尾大神」としか伝えられていませんでしたが、寛文六年(1666年)の棟札に「左松尾大明神、右春日大明神」と記載されているのが判明し、「春日大神」を再び祀ることになったようです。
『倭名類聚抄』河内国石川郡に「佐備郷」が記載されており、佐備は古い地名です。
「サビ」とは一般に鉄を表す古語であると言われますが、佐備の語源もそうなのでしょうか。当地で鉄が採取され製鉄が行われたのかもしれません。
境内の様子
境内入口。崖下の狭い道に沿って東向きの鳥居が建ち、崖の上へと長い石段が続いています。
鳥居をくぐった様子。鳥居の傍らには石段の上を見上げる仕草の狛犬が配置されており、ちょっとした名物になっています。
石段の上には割拝殿形式の拝殿が建っています。簡素な建物ですが、寄棟造である点が神社としてはやや珍しいものとなっています。(なお淡路島では寄棟造の拝殿が多い)
割拝殿の通路には絵馬が掲げられています。
割拝殿をくぐって左側(南側)に手水舎が設置されています。
割拝殿の正面奥に本殿の建つ空間とを仕切る塀と、拝所を兼ねた中門が東向きに建てられています。
拝所奥の本殿は東向きに建ち、銅板葺の三間社流造で、千鳥破風と軒唐破風が付いたもの。彩色も施されており格調高い建築といった印象。
特に文化財に指定されていませんが、そこそこ古い建築のように見受けられます。
中門前に配置されている狛犬。こちらも年季が感じられます。
中門前の灯籠は花崗岩製で、文化十三年(1816年)に奉納されたもの。「太玉尊」「松尾大明神」と刻まれています。
江戸時代の灯籠で「○○(大)明神」の号でなく「○○尊」の号で神名が刻まれるのは比較的珍しいように思われます。
本殿の左側(南側)に隣接して「天神社」が東向きに鎮座。御祭神は「素盞嗚尊」。
拝所の奥に銅板葺の一間社春日造に軒唐破風の付いた社殿が建っています。
塀の奥の本殿の建つ空間にはいくつかの小さな境内社が鎮座しています。立ち入ることができないので、いくつあるのか、また社名や祭神等を確認することはできません。
当社の全景。本殿の建つ空間は鬱蒼とした社叢に覆われ、クスノキなどの巨樹も目立ちます。丘の上という立地もあり、神域としてなかなか素晴らしいところです。
当社付近は丘陵地帯であり、長閑な田園風景が広がっています。大阪平野でもこのような景色は意外に残っているものです。
由緒
『河内名所図会』
地図