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相楽神社 (京都府木津川市相楽清水)

社号 相楽神社
読み さがなか
通称
旧呼称 八幡宮 等
鎮座地 京都府木津川市相楽清水
旧国郡 山城国相楽郡相楽村
御祭神 足仲彦命、誉田別命、気長足姫命
社格 式内社
例祭 10月17日

 

相楽神社の概要

京都府木津川市相楽清水に鎮座する式内社です。

当社の創建・由緒は詳らかでありません。江戸時代以前は「八幡宮」と呼ばれ、現在も社殿には「八幡宮」と書かれた扁額が掲げられています。

当社が式内社「相楽神社」に比定されたのは恐らく地名によるものと思われます。現在の御祭神は「足仲彦命」「誉田別命」「気長足姫命」の所謂八幡神。当社が式内社ならば当初からの御祭神と考えられず、本来は別の神が祀られていたと思われます。相楽郡内の式内社は六社中四社が大社なのに対し当社は大社ではないものの、郡名と社名・地名が一致することから郡内において一定の影響力があったことが偲ばれます。

当社の本殿は室町時代初期の古く貴重な建築で国指定重要文化財です。山城国南部は中世に惣村が高度に発達し、当地一帯で山城国一揆が発生して外部からの武力を排除するなど農民による自治的志向が極めて高い地域でした。こうした中で寺社がその自治の中心の場、農民の結託の場として重んじられ、同時に境内が整備されていきました。今に残る当社の社殿もその中世の様子を物語るものでしょう。

また、当社は行事が多く、豆を焼いて出来た筋目で月々の降水量を占う「豆焼」や、稲の作柄を占う「粥占」、田植えの様子を模して豊作を祈る「御田」などがあります。これらは宮座によって行われており、これまた中世以来の農村の祭祀形態をよく伝えていると考えられています。これらの行事は京都府指定無形文化財となっています。

鎌倉時代以前の様子は全くと言って良いほど伝わっていませんが、木津川が湾曲し山田川と合流する付近という水害の危険性の高い地域でありながら、中世以来の様子がよく伝わっている当社は奇跡的だと言っても過言ではないでしょう。

 

境内の様子

境内入口。境内は相楽小学校に隣接し、鳥居は東向きに建っています。

 

鳥居をくぐってすぐ左側(南側)に手水舎があります。

 

鳥居の先にちょっとした石段があり、その上に瓦葺・平入切妻造の四脚門の神門が建っています。この先の空間は塀で囲われています。

また神門には当社の旧称である「八幡宮」と書かれた扁額が掲げられています。

 

相楽神社

相楽神社

神門をくぐると正面に社殿が東向きに建っています。

拝殿は瓦葺・平入の切妻造で正面三間・奥行二間の壁の無い建築。床も無く土間となっています。

 

拝殿前の狛犬。砂岩製です。

 

拝殿には当社で行われている「豆焼行事」の結果が掲示されていました。

見方がよくわかりませんが、線の入れてある部分が豆を焼いてできた筋目で、これを月に当てはめて筋目の部分に降水がある、ということなのでしょう。

 

相楽神社本殿

拝殿後方に透塀に囲われて本殿と境内社が並んでいます。

本殿は檜皮葺の三間社流造で朱が施されています。具体的な年代は不明ですが、室町時代初期(南北朝時代)の建立と考えられる貴重な建築で、国指定重要文化財。優美で端正な建築ながら、和様の中に唐様や大仏様の手法が取り入れられているなど意欲的な建築です。

また、拝殿内の上部にも当社の旧称「八幡宮」の扁額が掲げられています。

 

本殿の左側(南側)には「若宮神社」が鎮座しています。檜皮葺の一間社春日造。

こちらは室町時代後期の建立と考えられており、京都府登録有形文化財となっています。

 

若宮神社の左側(南側)には「鳥懸神社」が鎮座。若宮神社より小規模な春日見世棚造です。

 

鳥懸神社の左側(南側)には「松枝神社」が鎮座。鳥懸神社よりもさらに小規模な春日見世棚造の社殿。

 

今度は本殿の右側(北側)へ。こちらには「子守神社」が鎮座しています。よく見えませんが、鳥懸神社と同じくらいの規模の春日見世棚造のようです。

 

子守神社の前方(東側)に「清水神社」が鎮座しています。この神社だけ南向きになっており、妻入の切妻造となっています。

因みに当社の鎮座地の小字は「清水」です。この地の地主神的な神が祀られているのでしょうか。

 

透塀内を引きで見た様子。国重文を含む社殿がずらっと並ぶ様子は壮観です。

 

拝殿の左側(南側)には「豊八稲荷大明神」が鎮座。

何故かこの神社だけが透塀の外に鎮座しています。

 

社殿の前方(東側)の左右(南北)に長床状の建物があり、それぞれ「南仮舎」「北仮舎」と呼ばれています。

これは神事の際に用いられる氏子の詰所で、南山城から大和にかけてよく見かけるものです。神社によってこの建築の呼称は異なっており、当サイトでは「座小屋」と総称して分類しています。

一般にこのような建築は「長床」として処理され「修験道関係のもの」と結論づけられることも多いですが、この地域で広く見られる「座小屋」は(起源はどうであれ)特に修験道関係のものでないことに注意が必要です。

 

タマヨリ姫
この神社は古い建物があるし、神事もとても古くからあるものなんだね!歴史を感じるなぁ。
そうね。この辺りの村は農民による自治が特に発達したところなのよ。その頃の名残が今も見られるわね。
トヨタマ姫

 

由緒

案内板「式内社 相楽神社」

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式内社 相楽神社

祭神

足仲彦命(仲哀天皇)
誉田別命(応神天皇)
気長足姫命(神功皇后)

所在地

木津川市相楽清水

相楽神社は、北ノ庄区・大里区・曽根山区(旧相楽村)の産土神として古くから祀られてきた社です。近世までは単に八幡宮と呼ばれていましたが、明治に至って、平安時代の法典『延喜式』に記された「相楽神社」に定められ現在の名となりました。

相楽神社本殿 三間社流造 檜皮葺 室町時代初期

身舎正面の蟇股の藤唐草・透彫の欄間・妻飾の組物など見るべきものが多くあり、重要文化財に指定されています。

末社若宮神社本殿 一間社春日造 檜皮葺 室町時代後期

各所に古様なつくりが残されており、府登録有形文化財になっています。

相楽の御田と正月行事

相楽神社に伝わる年頭の宮座の行事で、月々の降水量を占う「豆焼」(一月十四日)、早稲・中稲・晩稲の作柄を占う粥占と稲作の過程を模して豊作を祈る御田(十五日)、竹串に多くの餅を差して花に見立てたものを奉納する餅花(二月一日)、年間降水量を占う水試(旧暦一月十五日)などがあります。これらの正月行事には中世的な宮座祭祀のあり方がよく残されており、府指定無形民俗文化財に指定されています。

多くの貴重な文化財がある当社は、周囲の環境を変えることなく将来に伝えていくため、境内一帯が京都府文化財環境保全地区になっています。

平成二年三月

相楽神社
木津川市教育委員会

 

地図

京都府木津川市相楽清水

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