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咋岡神社 (京都府京田辺市飯岡東原)

社号 咋岡神社
読み くいおか
通称
旧呼称 天神宮 等
鎮座地 京都府京田辺市飯岡東原
旧国郡 山城国綴喜郡飯岡村
御祭神 宇賀乃御魂神、菅原道真
社格 式内社、旧村社
例祭 10月15日

 

咋岡神社の概要

京都府京田辺市飯岡東原に鎮座する式内社です。

当社の創建・由緒は詳らかでありません。かつては北方の普賢寺川と木津川の合流する地に「宇賀乃御魂神」を祀る神社として鎮座していたと言われ、木津川の氾濫により永禄八年(1695年)(十五世紀前半の永享年間との説もあり)に現在地へ遷座し、「菅原道真」を新たに勧請して祀ったと伝えられています。

旧地は当社の北方1km強の「草内宮ケ森」であったと言われ、飯岡村と草内村の二ヶ村の氏神だったとされています。現在の草内地区には当社とは別に「咋岡神社」が鎮座しており、十三世紀後半の建治年間の創建と伝えられるものの、当社と共に式内社「咋岡神社」の論社となっています。

一方のこちら飯岡地区は極めて特殊な地形となっており、木津川沿いの平野部でありながら、島のように一辺500mほどの方形の台地(飯岡丘陵)となっています。集落はこの台地の上にあり、当社は台地の東麓に立地しています。また、台地の上には古墳時代前期~後期に築造された「飯岡古墳群」があり、非常に古くから人々が居住し開拓していたことがわかります。

当地の地名「飯岡(いのおか)」は「咋岡」が変化したものとも言われ、また木津川沿いにありながら高台であり洪水を避けられる極めて好都合な地形です。想像ですが、この特殊な地形、そして多くの古墳があることから、もしかしたら咋岡神社も最初はこの高台にあり、それがいつしか普賢寺川と木津川の合流地に遷座したのではないでしょうか。やはり社名に「岡」が付いてるからには、川の合流地のような低地でなく本来は高台にあったと考えるのが自然なように思います。

 

境内の様子

咋岡神社

境内入口。木津川沿いの平野にありながら台地になっている地形なので入口は石段となっています。石段上の鳥居は東向き。

 

鳥居をくぐって右側(北側)に手水舎があります。手水鉢にはかつての呼称である「天神宮」の銘が刻まれています。

 

正面に東向きの社殿が並んでいます。

拝殿は平入切妻造の割拝殿。山城国の北部では舞殿風拝殿が多いのと対照的に、南部では割拝殿がかなり多くなってきます。

 

拝殿の通路の様子。この通路の上部や拝殿の裏側の上部には「升と斗掻き棒」の絵馬が多数奉納されています。これは米寿(八十八歳)を記念して奉納されるもので、南山城では手形絵馬と共によく見かけるものです。

 

本殿は銅板葺の一間社流造で朱が施されています。幾度もの改修を受けたようで、いつ頃の建立かはわかりませんがそれなりに古そうな印象。

 

本殿前には二対の狛犬が配置されています。手前側は花崗岩製の新しいもの、奥側は砂岩製の年季の入ったものです。

 

本殿の左側(南側)に二棟の境内社が鎮座。左側は「八幡神社」、右側は「天照皇大神」です。

 

本殿の右側(北側)には「厳島神社」が鎮座しています。脇に配置されている自動車のハンドルを象った石碑が独特。

 

当社は洪水により遷座してきたと伝えられていますが、境内には立派な古木が多く古社の趣が感じられます。

中でも境内の南東にあるスダジイは見事で、樹齢300年であると推定されています。

 

飯岡の集落の様子。木津川沿いの平野にある島状の台地の上に立地しています。高低差のある立体的な地形であり、坂が多く、民家には立派な石垣が積まれているのが特徴です。

 

国土地理院が提供している色別標高図を見ると飯岡の地形がよくわかります。木津川沿いの平野部に孤島のような約500m四方の台地となっており、この台地は「飯岡丘陵」と呼ばれています。この地形は蛇行を繰り返した木津川が周囲を削って形成されたものと考えられています。

氾濫の多かった木津川沿いにありながら水害を避けることのできる格好の地だったことでしょう。

 

南方の木津川に架かる玉水橋から飯岡丘陵を眺めた様子。低地の広がる木津川沿いにありながらここだけ高台となっている様子がわかります。

木津川の水運を利用した人々にとっても目印になったのではないでしょうか。

 

飯岡古墳群

飯岡丘陵の上には古墳時代前期~後期の古墳がいくつかあり、「飯岡古墳群」と呼ばれています。継体天皇が当地付近に山背筒城宮を置いたとされることに関連してか、中には継体天皇の皇子が葬られていると伝承されている古墳もあります。その一部をここに紹介しましょう。

薬師山古墳」。「櫻井古墳」とも呼ばれています。咋岡神社の西方200mほどの地にある円墳で、直径38mほどの規模です。継体天皇の皇子、椀子王の子である桜井王の墓であると伝承されています。墳頂に祠があり、江戸時代の石仏が安置されています。

薬師山古墳から南方を眺めた様子。周囲よりも高い地形であることがよくわかります。

 

薬師山古墳の西方50mほどの地にある「ゴロゴロ山古墳」。「釈迦山古墳」「茶臼山古墳」とも呼ばれています。古墳時代中期の築造と考えられており、南山城でも最大級の円墳で直径60mほど。継体天皇の皇子である椀子王の墓であると伝承されています。

案内板「ゴロゴロ山古墳」

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ゴロゴロ山古墳

京田辺市飯岡中峯三八番地

古墳の別名を、茶臼山、釈迦山古墳とも呼ばれている。

飯岡丘陵のほぼ中央、頂上近くに位置する古墳時代中期のもので、南山城地方を代表する、大きな円墳(現在、前方後円墳とする説もある)である。すでに盗掘にあって、遺物は何も残っていないと伝える。

伝承では、継体天皇の椀子王の塚というが確証はない。継体天皇の筒城宮に近いところから伝説になったものと思われる。

古墳の直径は六十メートル、高さは九メートル。墳丘頂部は直径二十メートルの平坦地になっている。葺石の存在もあり、北東部には堀がめぐっていた跡がある。

京田辺市教育委員会
京田辺市文化財保護委員会

 

ゴロゴロ山古墳の200mほど西方に「飯岡車塚古墳」があります。古墳時代前期後半に築かれた前方後円墳で墳丘長は90m。

斜面(封土?)は畑になっています。

案内板「飯岡車塚古墳」

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飯岡車塚古墳

京田辺市飯岡西原一六番地の一ほか

古墳時代前期後半(四世紀後半)に造られた、市内最大の前方後円墳である。全長九十メートル、後円部直径六十メートルを測る。明治三十五年(一九〇二)に後円部が発掘され、棺を納めた竪穴式石室から勾玉、管玉、小玉、石釧、車輪石、鍬形石、石製小型坩、刀剣片などがみつかったが、銅鏡が含まれていないので、それ以前に盗掘されていたとみられる。古墳の表面は葺石でおおわれ、周りは埴輪で囲まれている。埴輪のなかには楕円筒埴輪があることが、昭和五十一年(一九七六)の発掘調査でわかった。この飯岡には、前期の車塚古墳をはじめとして、中期の薬師山古墳・ゴロゴロ山古墳・弥陀山古墳・トヅカ古墳、後期の東原古墳・飯岡横穴と古墳時代を通じて多くの古墳が造られ続けた。木津川の水運に関係した一族の墓と考えられる。

京田辺市教育員会
京田辺市文化財保護委員会

 

他にも弥陀山古墳、トヅカ古墳、東原古墳、飯岡横穴といった墳墓が飯岡の台地上にあります。古墳時代の前期から後期まで年代はバラけていますが、木津川の水運や当地の開拓に関わったろう人々がこの台地を墓地に相応しい地と見做していたことが伺われます。

 

タマヨリ姫
「咋岡」ってくらいだし、やっぱり神社の名前の通り丘の上にあるのかな。
そうね、ここは「飯岡丘陵」と呼ばれる台地になってるのよ。ただ、この神社は元々川の合流部にあったのを木津川の洪水で遷座したと伝えられてるのが気になるわね。
トヨタマ姫

 

由緒

案内板「咋岡神社」

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咋岡神社

京田辺市飯岡東原六二番地

宇賀乃御魂神と菅原道真をまつり天神あるいは天神宮と呼ばれていたが、明治八年(一八七五)式内社咋岡神社として認定された。

木津川の氾濫により、江戸中期の元禄八年(一六九五)に現在地に移され、その際に菅原道真が新に祭神に加えられ整備されたことが文書と石燈籠銘文から判明する。元の位置は飯岡の北端で木津川と普賢寺川の合流点の箇所であったと口伝されている。

現在の本殿は、東に面した一間社流造の建物で、屋根は銅板葺である。移設後明治年間に至るまで数度の改修が行われたとみられ、当初の建築様式を留めていないが、慶長六年(一六〇一)、元和三年(一六一七)、寛永十三年(一六三六)などの棟札が残され、その経年の歴史が判明する。

祭神の宇賀乃御魂神は稲魂・稲倉魂・宇迦御魂とも表現され、稲を司る神で古代からの神である。

京都の自然二〇〇選にも選定されたスダジイをはじめ、シイなどの巨木が多く、良好な鎮守の森の景観を保っている。

例祭 十月十五日 前日には百味寄せが行われる

茅の輪 六月三十日・十二月三十一日

京田辺市教育委員会
京田辺市文化財保護委員会

 

地図

京都府京田辺市飯岡東原

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