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雄神神社 (奈良県奈良市都祁白石町)

社号雄神神社
読みおがみ
通称
旧呼称
鎮座地奈良県奈良市都祁白石町
旧国郡大和国山辺郡北白石村(?)
御祭神出雲健男命
社格式内論社
例祭11月15日

 

雄神神社の概要

奈良県奈良市都祁白石町に鎮座する神社です。天理市布留町に鎮座する「石上神宮」の境内摂社「出雲建雄神社」、藺生町に鎮座する「葛神社」と共に式内社「出雲建雄神社」の論社となっています。

当社の創建・由緒は詳らかでありません。

当社背後にある山は二つの頂があり、東側は標高550.6mの「雄神山(雄雅山)」、西側は標高531.5mの「雌神山(雌雅山)」で、総称して「野野上岳(野野神岳)」と呼ばれています。

当社は本殿が無く、この野野上岳を神体山としており、野野上岳の山頂には白蛇が住んでいると伝えら、現在も禁足地となっています。

桜井市三輪に鎮座する「大神神社」と同様の祭祀形態であり、当社は同社の奥宮であるともされています。

また当社の西方500mほどの地に鎮座する「国津神社」との間の田圃には四カ所の「休ん場(ヤスンバ)」と称する小さな森があり、これは神が往来する際に休むところであると伝えられています。

 

一方、式内社「出雲建雄神社」は江戸時代には所在不明となっていたようで、江戸時代中期の地誌『大和志』は所在未詳としつつ「或いは曰く」として現在の藺生町の「葛神社」を挙げています。

対して現在では式内社「雲建雄神社」は「石上神宮」境内社に比定する説が有力となっていますが、当社こそがそうであるとする説も唱えられています。

当社の御祭神は「出雲健男命」とされているものの昔からそうだったかは不明。「雄神」からの連想である可能性も否定できず、管見では当社を式内社とする積極的な根拠は見出せません。

ただ上記のように「大神神社」と同様の原始的な山岳信仰を現在に伝える神社であり、当社が式内社であろうとなかろうと古い信仰を残す神社であることは間違いないでしょう。

当社を中心にして背後に蛇の住むという「野野上岳」、そして近隣に神の休んだという「休ん場」と一定の範囲に神の往来するとされる信仰空間を成しており、現在に貴重な信仰的風景を伝える神社と言えることでしょう。

 

境内の様子

雄神神社

当社は都祁白石町の北側の集落(旧・北白石村?)の東方にある「野野上岳(野野神岳)」の南西麓に鎮座しています。

入口は綺麗に整備されており、石段上に西向きの一の鳥居が建っています。

 

一の鳥居をくぐって左側(北側)に手水舎が建っています。

 

一の鳥居をくぐって砂利敷の参道を進むと鬱蒼とした森の入口に二の鳥居が西向きに立ち、奥に石段が続きます。

 

石段上には三の鳥居が西向きに建っています。

 

雄神神社

三の鳥居をくぐってすぐ正面奥に拝殿が西向きに建っています。

この拝殿は桟瓦葺の平入切妻造に銅板葺の唐破風の向拝の付いたもの。

 

拝殿内の上部には小銭で「鐵銅銀金」の文字を並べた額が掲げられています。

 

拝殿の背後には本殿が無く、代わりに鳥居が建ち狛犬と岩石が置かれています。

当社は背後の野野上岳を神体山としているため、「大神神社」(桜井市三輪)と同様に遥拝所としているのでしょう。

 

当社へは二度訪れており、最初の参拝時はたまたま紅葉の季節だったので境内の楓が赤く染まり、そこに夕日が照らされて大変美しい光景となっていました。

当地はじめ大和高原はかなり冷え込むので、平野部と比べて紅葉の時期はかなり早くなります。

 

秋の夕方には丁度当社の社殿から鳥居を見た先に太陽が沈みます。最初の参拝時はたまたまその光景を見ることができ、実に神秘的でした。

 

当社周辺の様子

当社西方の田圃の中には「休ん場(ヤスンバ)」と呼ばれる非常に小さな森、というよりも数本の木々の生い茂る小さな区画があり、田圃はこの「休ん場」を除けて稲作が行われています。

この「休ん場」は計四カ所あり、神が往来する際に休むところと伝えられています。

 

西方から野野上岳を見た様子。左側の頂が「雌神山(雌雅山)」で、「雄神山(雄雅山)」は右の奥側に少し見えているのみです。(標高は雄神山の方が高い)

左下に見える小さな森は「休ん場」の一つ。

当社は「雄神神社」との社号ですが、雄神山とは谷を一つ隔てた尾根の麓にあります。また社殿の向きからすると遥拝の方向は雄神山の山頂より少し南を通ることになります。この点に何か理由があるのかは不明。

この山塊自体が全体的に神域であるとされているのかもしれません。

 

タマ姫
ほえー、神様がお休みする場所が田圃の中にあるんだね!
そうね。背後の山を御神体としていることといい、古い信仰がよく残っている神社と言えそうね。
トヨ姫

 

地図

奈良県奈良市都祁白石町

 

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