社号 | 百舌鳥八幡宮 |
読み | もずはちまん |
通称 | |
旧呼称 | |
鎮座地 | 大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町5丁 |
旧国郡 | 和泉国大鳥郡赤畑村 |
御祭神 | 応神天皇、神功皇后、仲哀天皇 |
社格 | 旧府社 |
例祭 | 旧八月十五日 |
百舌鳥八幡宮の概要
大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町5丁に鎮座する神社です。
社伝によれば、欽明天皇の御宇、八幡大神の神託を受けてこの地に八幡神を祀り、この地を万代(モズ)と称したと伝えられています。
八幡宮の総本宮である「宇佐神宮」(大分県宇佐市南宇佐)も創建は欽明天皇の御代と伝えられているため、当社の創建もこれに倣ったものでしょう。
保安三年(1158年)には「石清水八幡宮」(京都府八幡市八幡高坊)の別宮になっていたといい、実際には石清水八幡宮から神を勧請したのが創建と考えるのが自然でしょう。
当地は百舌鳥古墳群の中にあり、また百舌鳥古墳群の築造や葬送儀礼に携わった土師氏が当地付近に居住した(当地の南方約1kmに「土師」の地名が残る)ことから、当社の前身として彼ら土師氏が祖を祀っていた可能性は考えられるかもしれません。
ただし現在の当社には土師氏を彷彿させるものは全くありません。
なおモズの地名について、『日本書紀』では仁徳天皇が御陵を築造しようとした際に野から出てきた鹿が倒れてその耳から百舌鳥が飛び去ったので、その地を百舌鳥耳原と呼んだとする地名起源説話を載せています。
創建後の当社について、天平元年(729年)に行基が当社境内に神宮寺として「真龍山万代寺」を創建して奥の院とし、また後には別の神宮寺として「重楽院」も創建されました。
中世には当社および神宮寺は隆盛を極めたといい、社家は360人にも及び、寺社領も頗る多く、朝廷や武家から厚い信仰を受けたと言われています。
戦国時代以降は衰微したものの、江戸時代には大阪城代の交代毎に必ず当社への参詣があり、大祭の際には堺奉行からの参向もあったと言われています。
明治年間の神仏分離により万代寺は分離、重楽院は廃寺となり現在に至っています。
当地付近では大規模な神社であり、また周辺地域の宅地化により現在も多くの人々から崇敬を受けています。
境内の様子
当社は百舌鳥古墳群の分布する一帯にある赤畑地区に鎮座しています。
一の鳥居は社殿の南方約200mほどに南向きに建っており、そこから長い参道(馬場?)が続いています。
参道を進んでいくと石段があり、その上に二の鳥居が南向きに建っています。
石段上は非常に広い空間となっており、二の鳥居から社殿までまっすぐ石畳が敷かれています。
二の鳥居をくぐって右側(東側)に手水舎が建っており、手水鉢と井戸が配されています。
石畳の奥に社殿が南向きに並んでいます。
拝殿は本瓦葺の平入入母屋造に軒唐破風付きの向拝と千鳥破風の付いた豪勢なもの。
この拝殿は文政十三年(1830年)に建立された建築です。
拝殿前に配置されている狛犬。大きな目が深く窪んだ造形でかなりユーモラスな姿です。
拝殿後方に透塀に囲まれて本殿および幣殿が建っています。
本殿は檜皮葺の三間社流造で千鳥破風の付いたもの。享保十一年(1726年)に建立された建築です。
本殿から銅板葺の唐破風(側面に檜皮葺の庇が付く)が長く伸びており、これが幣殿となっています。
本社本殿の左側(西側)に隣接して「若宮社」が南向きに鎮座。御祭神は「仁徳天皇(大鷦鷯尊)」。
瑞垣の奥に銅板葺の三間社流造の社殿が建っています。近年造営されたようで見るからに真新しい建築です。
若宮社の前に配置されている狛犬は打って変わって古めかしさの感じられるもの。
若宮社の左側(西側)に隣接して「招魂社」が南向きに鎮座。当地出身の戦死者の霊を祀っています。
社殿は銅板葺の流見世棚造。
本社拝殿前の左側(西側)には本瓦葺の切妻造の絵馬殿が建っており、屋根裏にはいくつかの絵馬が掲げられています。個人用の小絵馬もこちらで奉納するようになっています。
本社拝殿前の右側(東側)には非常に大きなクスノキが聳え立っています。
樹齢700~800年ほどと推定される立派な個体で、大阪府指定天然記念物となっています。
案内板
大阪府指定 天然記念物
百舌鳥八幡宮のくす
このクスノキの根元には境内社が北向きに鎮座しています。社名・祭神は不明ながら、大阪市を中心にクスノキには龍蛇が宿るとしてこれを信仰する風習が根強く、こちらも恐らくその類でしょう。
社殿は銅板葺の流見世棚造。
二の鳥居前の石段下の右側(東側)に「稲荷社」が南向きに鎮座。
二基の朱鳥居が建ち、玉垣に囲われた区画に本瓦葺の妻入入母屋造、本瓦葺の流造状の本殿覆屋が建っています。
当社参道の左側(西側)に大きな池があり、その中に楕円形の島があります。
この島へは橋で渡ることが可能で、この島の北端には「弁天社(市杵嶋社)」が南向きに鎮座しています。
朱鳥居が建ち、玉垣に囲われた区画内に本瓦葺の妻入切妻造に妻入切妻破風の庇の付いた社殿(覆屋?)が建っています。
この島の西側には注連柱が建っており、その向こうの池中に「水神社」が東向きに鎮座しています。
池中に浮かぶ基壇上に玉垣に囲まれて銅板葺の一間社流造の社殿が建っています。
由緒
案内板
百舌鳥八幡宮
地図