社号 | 矢作神社 |
読み | やはぎ |
通称 | |
旧呼称 | 掃部別宮、別宮八幡宮 等 |
鎮座地 | 大阪府八尾市南本町 |
旧国郡 | 河内国若江郡別宮村 |
御祭神 | 経津主神、住吉三神、品陀和気命、八重事代主命 |
社格 | 式内社 |
例祭 | 10月21日 |
式内社
矢作神社の概要
大阪府八尾市南本町に鎮座する式内社です。
当社の創建は詳らかでありませんが、当地に居住した「矢作氏」が祖神を祀ったのが当社と考えられています。
『新撰姓氏録』河内国未定雑姓に布都奴志乃命の後裔である「矢作連」が登載されており、この氏族が当社を奉斎したと思われます。
矢作氏は矢の製作に従事した氏族であり、軍事氏族の「物部氏」に属したとされています。当地付近はまさに物部氏の本拠地であり、彼らの強大な軍事力を支える重要な役目を担っていたことでしょう。
平安時代以降、当地は「石清水八幡宮」の荘園となったために当社に八幡神が祀られ、「掃部(カモン)別宮」と呼ばれました。
これを受けて『三代実録』貞観十六年(874年)に見える河内国の「掃部神」を当社だとする説がありますが、やや無理のある見解のように思われます。
当地が「石清水八幡宮」の荘園となったのは院政時代のことと思われ、当社における「掃部」の名を『延喜式』以前の九世紀にまで遡らせることは難しいでしょう。
一方、『倭名類聚抄』河内国高安郡に見える「掃守(カニモリ)郷」は当社の東方の黒谷地区付近に比定されており、「掃部神」はこの掃守郷にあった国史現在社と見るのが妥当と思われます。
ただ、当社が掃部別宮と呼ばれたことは、「掃守」「掃部」の地名が郡を越えて広範に亘っていたことを示唆するものです。当地は矢作氏や物部氏だけでなく掃守氏の活動も盛んだったのかもしれません。
当社の境内からは三角縁神獣鏡が出土しており、八尾市指定有形文化財となっています。当社の祭祀との連続性は不明ながら、当地が古くから祭祀の行われた地だったことを示すものと言えるでしょう。
境内の様子
境内入口。鳥居は西向きで、社殿の西方120mほどのところに建っています。
鳥居をくぐった様子。参道は東西方向に長く伸びています。
参道の途中で小さな道路が横切っており、境内を二分しています。奥側の境内は玉垣で仕切られ、入口には注連柱が建てられています。
注連柱をくぐると左側(北側)に樹齢600年とも言われる見事なイチョウの木があります。
幹に乳房状の垂下物があり、この部分の薄皮を剥いで煎じて飲めば乳の病に効くと伝えられています。
案内板
大銀杏
注連柱をくぐった様子。境内の奥側の空間は広々としており、樹木も多くない為非常に開放的な印象を受けます。
社殿前の左側(北側)に手水舎が建っています。
正面に社殿が西向きに並んでいます。
拝殿は銅板葺・平入の入母屋造で唐破風の向拝のついたRC造の建築。屋根が低く安定感のある印象です。
拝殿前の狛犬は花崗岩製の真新しいもの。
本殿は銅板葺の流造。やはりRC造と思われますが、屋根の薄さと勾配の緩やかさが特徴的です。
本社社殿の左側(北側)に「稲荷神社」が西向きに鎮座。
鳥居が建ち、奥の覆屋の中に石製の流造の社殿が建っています。
境内の北西側の一画には三社の境内社が南向きに並んで祀られています。
三社の境内社の内、左側(西側)に鎮座するのは「琴平神社」。御祭神は「大物主命」。
三社の中でこの神社だけが銅板葺の流見世棚造となっています。
中央に鎮座するのは「白山神社」。御祭神は「菊理媛神」「伊邪那岐神」「伊邪那美神」。
社殿は銅板葺の春日見世棚造。
右側(東側)に鎮座するのは「八坂神社」。御祭神は「須佐之男命」。
社殿は銅板葺の春日見世棚造。
社殿前の灯籠には大きく「八幡宮」と刻まれています。
石清水八幡宮の荘園でなくなっても当社は長らく八幡宮として祀られてきました。
境内にはこのような大きく平たい石がいくつかあります。「弁慶の七ツ石」と呼ばれ、旧社殿の礎石であるとも言われています。
案内板
弁慶の七ツ石
境内は広さの割に樹木は少なめですが、イチョウのように非常に立派なものもあり、当地における神社の歴史を物語っています。境内にはハナミズキの花も綺麗に咲いていました。
由緒
石碑
矢作神社 由来
地図
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