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伊射奈岐神社 (大阪府吹田市佐井寺)

社号 伊射奈岐神社
読み いざなぎ
通称
旧呼称 春日社 等
鎮座地 大阪府吹田市佐井寺1丁目
旧国郡 摂津国島下郡佐井寺村
御祭神 伊射奈岐命
社格 式内社、旧村社
例祭 5月5日、10月10日

 

伊射奈岐神社の概要

大阪府吹田市佐井寺1丁目に鎮座する式内社です。山田東地区に鎮座する同名の神社「伊射奈岐神社」と共に式内社「伊射奈岐神社」の論社となっています。『延喜式』神名帳には大社とあり、古くは有力な神社だったようです。

社伝によれば、雄略天皇二十二年(478年)に豊受大神が丹波国与謝郡の真名井の原から伊勢国度会郡の山田原に遷座し、その翌年に天照大神の神託を受けた倭姫命の教えにより、この地に伊射奈岐命と伊射奈美命の二神を祀ったと伝えられています。

また、貞観年間から延喜年間の間に伊射奈美命を遷座して姫宮とし、それが現在の山田東地区の「伊射奈岐神社」であると伝えています。山田東地区の姫宮に対して当社は奥宮であるとも言われています。

このように、伊勢の豊受大神宮(外宮)の創建に際して斎宮である倭姫命の教えにより当社が創建されたとしています。また、当社から伊射奈美命を遷して山田東地区の「伊射奈岐神社」を創建したとありますが、山田東地区の「伊射奈岐神社」ではそのような伝承は無いようです。

一方で『延喜式』神名帳には伊射奈岐神社は二座とあることから、当社と佐井寺地区の伊射奈岐神社とを併せて二座としたとする説もあります。しかし両「伊射奈岐神社」の関係ははっきりしないのが現状です。

なお、『三代実録』貞観元年正月廿七日の記事に多くの神が神階を授けられたことが記されており、その中の摂津国に「伊射奈岐神」が含まれていますが、「伊射奈美神」は見えません。このことから、当初伊射奈岐神社には伊射奈岐命のみが祀られていたものの後に伊射奈美命が追加されたとする説があります。

現在、当社の御祭神は「伊射奈岐命」で、「八幡大神」「素盞嗚大神」を配祀しています。江戸時代以前は「春日社」と名乗っていたから元は春日神を祀っていたものと思われるものの、現在は何故か春日神を祀っていません。

『延喜式』神名帳を見ると、「イザナギ」と名乗る式内社は大和国に三社、摂津国に一社、伊勢国に一社、若狭国に一社、淡路国に一社、阿波国に一社の計八社があり、畿内とその周辺にまとまって鎮座しています。

イザナギ・イザナミの二神は記紀神話において「国産み」という極めて重大な役目を負っており、さらにイザナギはアマテラス、ツキヨミ、スサノオの「三貴子」の誕生に関わるなど、指折りの重要な神として描かれています。

しかしイザナギ・イザナミの二神は元は淡路島を中心とする海人の信仰したローカルな神で、これが神話に取り入れられたとする説があり、当社も元はそうした海人が浪速にほど近い当地で神を祀ったものだったのかもしれません。

1960年代以降千里ニュータウンとして大規模に開発された千里丘陵にありながら、当社周辺は昔ながらの貴重な集落の光景が残っています。しかし当社の信仰は大きな変遷があったことが想像されます。

 

境内の様子

境内入口。狭い道から丘の上へ石段が真っすぐに伸びています。石段途中に踊り場的な広い空間があり、そこに鳥居が南向きに建っています。

 

踊り場の左側(西側)に手水舎があります。

 

伊射奈岐神社

 

伊射奈岐神社

石段の上は社殿の建つ空間となっており、正面に南向きにRC造の社殿が並んでいます。ただ、参道はやや東に寄ってるのに対し社殿はほぼ真南を向いてるので、参道と社殿は向きに若干のズレがあります。

拝殿は銅板葺の平入入母屋造に大きな千鳥破風と唐破風の付いたもの。

 

拝殿前の狛犬は花崗岩製。畿内の狛犬は砂岩製が古く花崗岩製が新しい傾向がありますが、当社の狛犬は古めかしい印象。

 

本殿は銅板葺の平入入母屋造で、権現造のように拝殿と接続しています。

 

拝殿脇に「伊射奈岐神社一座」と刻まれた石碑があります。

これは江戸時代中期の地理学者の並河誠所が当時不明となっていた畿内の式内社を研究し、その記念として比定された式内社に建立されたものです。摂津国の式内社でよく見かけるもの。

また石碑には建立者として「菅廣房」の名も刻まれており、資金を提供した人物とされています。この人物は佐井寺村で亡くなったと言われ、当地にゆかりある人物でもあります。

案内板「佐井寺伊射奈岐神社 社号標石」

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吹田市指定文化財

佐井寺伊射奈岐神社 社号標石

社号標石は、江戸時代中期の儒学者並河誠所が、平安時代編纂の『延喜式神名帳』に掲載された「式内社」の所在地や名勝が混乱しているのを正すために幕府へ標石建立を提言し、寺社奉行の大岡越前守忠相からの許可を得て元文元(1736)年から翌年にかけて建てられたものです。その分布は旧摂津国に20基(大阪府11基、兵庫県9基)と限られ、吹田市では佐井寺伊射奈岐神社の2基が現存しています。

佐井寺伊射奈岐神社の標石は、花崗岩製の標柱石及び2段の台石から成ります。標柱石は上端を尖塔状に加工した細長い四角柱の正面と向かって右側面の下方に文字が彫られています。台石は大きさの異なる2段の直方体で構成され、上段台石の左側面中央には、長方形(縦約24cm×横約9cm)に浅く彫り込まれた中に「菅廣房建」と刻まれています。

なお、台石に刻まれた菅廣房は資金を提供した大坂の山口屋伊兵衛のことともいわれ、建碑に尽力したことへの感謝として名前が刻まれたといわれています。また菅廣房は元文元(1736)年に佐井寺村の庄屋宅で亡くなったといわれ、その墓と伝えられる「菅氏墓」と刻まれた墓石が佐井寺南が丘の墓地に現存しています。

平成30(2018)年3月
吹田市教育委員会

 

社殿の北方は崖となっています。

この崖を利用して須恵器を焼いた古墳時代の窯跡が発見されています。当地付近ではこのような窯跡が多く分布しているようで、古くから人の営みのあったことが想像されます。

また東方の岸辺北地区には平安京の瓦を焼いたとされる吉志部瓦窯跡があり、当地付近における焼き物の歴史の長さも窺えます。

案内板「約1,400年前に土器を焼いた窯跡」

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約1,400年前に土器を焼いた窯跡

社殿の北側から、須恵器を焼いた古墳時代の窯跡が平成2年9月の調査で発見されました。須恵器とは、古墳時代から平安時代にかけて使用された、灰色に焼けた硬質の土器のことをいいます。朝鮮半島の陶質土器の生産技術が5世紀代に伝来し、わが国でも生産されるようになったものです。部分的な調査でしたが、今回発見された窯跡は、丘陵などの傾斜地の地面を掘りくぼめて天井をかける、半地下式登窯と呼ばれる窯跡であることがわかりました。市内ではこういった窯跡が広く分布し、大規模窯業生産地帯を形成していました。

平成5年3月
吹田市教育委員会

 

道を戻ります。石段途中、手水舎等のある広い空間の西側に二社の境内社が東向きに鎮座しています。

社名等を記すものが何もありませんが、左側(南側)の社殿は長押の上に狐が象られており稲荷系の神社であることがわかります。

 

右側(北側)の境内社。こちらはいかなる神を祀るかヒントになるものがありません。

ネット上の情報では水神を祀っているようです。

 

当地は1960年代以降大規模に開発された千里丘陵にありますが、当社付近は旧・佐井寺村の古い集落の様子が今も残っています。2018年の大阪北部地震及び台風21号の被害を受けたものの、今でも古い町並みや田畑が見られます。

かつては「佐井の清水」と呼ばれた泉があったといい、丘陵地における貴重な水源だったと共に「佐井」の由来にもなっています。また、当社の南方に隣接して「佐井寺」があり、当地の地名はこれに因んでいます。

 

タマヨリ姫
伊射奈岐神社って神社は二社あるんだね。どちらか片方が本来の式内社だったのかな?
恐らくそうだろうけれど、『延喜式』神名帳は二座とあるから両社を併せて「伊射奈岐神社」だったって説もあるのよ。
トヨタマ姫

 

由緒

案内板「千里佐井寺 伊射奈岐神社」

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延喜式内大社

千里佐井寺 伊射奈岐神社

祭神

八幡大神(相殿)
伊射奈岐大神(□□)
素盞嗚大神(相殿)

祭儀

春祭 五月五日
例祭 十月十日
月次祭 毎月一日 十五日

由緒

當社は延喜式神名帳に登載されている伊射奈岐神社二座の御社の一座がこの神社である。人皇第二十一代雄略天皇二十二年(四七八)九月豊受大神を丹波國与謝郡真奈井の原より伊勢国度会郡山田の原に御遷座の翌年(四七九)九月天照大御神の御神託を受けた伊勢斎宮皇女倭姫のお教えによりこの佐井が原に伊射奈岐、伊射奈美両大神お祭りしたのが當社の始まりとされている。清和天皇貞観元年(八五九)正月二十七日伊射奈岐神社従五位上を授かったと日本三大実録に記されている。

貞観から延喜年間に伊射奈美大神を東北の地に御遷座これを姫宮と称し本社を奥宮と称した。現在は佐井寺、佐竹台、津雲台、桃山台、竹見台、五月が丘、千里山全域などの鎮守の神である。

『摂津名所図会』

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伊射奈岐神社二座

一座は山田庄小川村にあり。今五社明神と持す。山田五ヶ村の生土神なり。一座は佐井寺村にあり。今春日明神と称す。延喜式神名帳出。又三代実録曰 貞観元年正月従五位を授く。

 

地図

大阪府吹田市佐井寺1丁目

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