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神南備神社 (京都府京田辺市薪甘南備山)

社号神南備神社/神奈備神社
読みかんなび
通称
旧呼称
鎮座地京都府京田辺市薪甘南備山
旧国郡山城国綴喜郡薪村
御祭神天照大神、天児屋根命、鵜葦葺不合命、大国主命
社格式内社、旧村社
例祭10月15日

 

神南備神社の概要

京都府京田辺市薪甘南備山に鎮座する式内社です。生駒山地北部、京田辺市と大阪府枚方市の境界近い地に聳える「甘南備山」の頂上に鎮座しています。

当社の創建・由緒は詳らかでありませんが、神武天皇が東征の際にこの地を通り、天神地祇をここで祀ったとする伝承があります。

また、大住地区に鎮座する月読神社で祀られる月読命は甘南備山に降臨したとする伝承もあるようです。

 

カンナビ(神南備/神奈備/甘南備)」とは神の宿る依代となる一帯のことであり、多くは神体山や磐座など特徴的な自然の地形を神域としたものです。

当地の場合は甘南備山を神の宿る山として古くから祀られてきたことが考えられます。決して高い山ではありませんが麓から見ると円錐形の美しい山で、神の降臨に相応しい山と見做されたことでしょう。

一方で「甘南備真人」が当社を奉斎したとする説もあります。ただし先述の通りカンナビの語自体が神の地を示す一般名詞であるため、一つの可能性としての域を出ません。参考までに、『新撰姓氏録』には左京皇別に敏達天皇の皇子、難波王の後裔であるという「甘南備真人」が記載されています。

カンナビの地名は全国各地にあり、多くはその地で古く素朴な自然信仰が行われたことを示すものです。

大阪府富田林市の甘南備地区のようにその信仰が失われたところも多い一方、当地の場合は当初の祭祀形態とは大幅に変わっていると思われるものの、信仰の対象としては継続しており貴重な地であると言えるかもしれません。

奈良時代以降には「甘南備寺」も創建され、仏教の聖地としても崇敬を集めたようです。

 

境内の様子

薪の集落から手原川沿いの谷を通り甘南備山を目指します。奥に見える円錐形の山が甘南備山。

 

甘南備山の登山道入り口。標高221mの低山で、登山道も整備されているので軽装でも問題ありません。

 

山頂へはいくつかの経路がありますが、「旧登山道」がオススメです。山道らしい道であることに加え、頂上までの近道にもなっています。

 

甘奈備山の山頂手前に当社の鳥居が北向きに建っています。

 

鳥居をくぐった様子。参道の右側(東側)に小さな手水鉢が置かれています。

 

神南備神社/神奈備神社

参道を進んでいくと右側(西側)に社殿が東向きに建っています。拝殿は無く、石垣の上に拝所と塀に囲まれた本殿が建っています。

 

本殿は瓦葺の一間社流造。両側からつっかえ棒で支えられています。

 

社殿の後方は小高くなっており、ここが甘南備山の頂上です。頂上は平らな空間となっており、かつてはこちらで神事が行われていたのかもしれません。

 

当社の鳥居前は東方に景色が開けており、城陽市・井手町方面の山々を見渡すことができます。

 

また、当社北方の高台には展望台が設けられており、ここからは北方の京都方面の景色を見渡すことができます。

甘南備山は平安京の朱雀大路の丁度真南にあたるため、朱雀大路を決める際の目印になったとも言われています。

 

当社から東方へ少し下ったところにちょっとした平らな空間があり、これは「甘南備寺」の跡であると言われています。

行基が創建したとも役小角が秘法を修めたとも言われる天台系の寺院で、平安時代の『本朝法華験記』『今昔物語集』にも登場。しかし中世には荒廃し、その後継となる寺院が薪山垣外の地に甘南備寺として法灯を継いでいます。

案内板

甘南備寺跡

 

また、当社から西方へ少し下ったところには「雨乞いの井戸」と呼ばれる小さな井戸があります。ここで雨乞いが行われたのでしょう。

甘南備山は田畑を潤す水の源としても信仰されたことが伺われます。

 

タマ姫
「かんなび」って神様の宿る聖地のことだよね!これがそのまま神社の名前になってるんだ!
そうね。当初は臨時の斎場を作って祭祀していたと思うけど、形を変えつつも今なお信仰の場として続いてるから遥かな歴史を感じるわね。
トヨ姫

 

由緒

案内板

神奈備神社

 

地図

京都府京田辺市薪甘南備山

 

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