社号 | 荒見神社 |
読み | あらみ |
通称 | |
旧呼称 | 五社天神宮 等 |
鎮座地 | 京都府城陽市富野荒見田 |
旧国郡 | 山城国久世郡富野村 |
御祭神 | 天火明尊、天香語山尊、天村雲尊、阿比良依姫尊、木花開耶姫尊 |
社格 | 式内社、旧村社 |
例祭 | 10月1日 |
式内社
荒見神社の概要
京都府城陽市富野荒見田に鎮座する神社で、式内社「荒見神社」の論社の一つです。当社の鎮座地「富野(との)」は『倭名類聚抄』山城国久世郡の「富野郷」の遺称です。
社伝によれば、大化三年(647年)九月に小篠峯に神霊が降り、当地を支配していた三富野部連金建が社殿を創建して天神五柱を祀ったと伝えられています。小篠峯なる地がどこなのかは不明ですが、その神跡の山麓を五社ケ谷と称し、現在は当社の東方1.5kmほどの地に「長池五社ケ谷」の地名が残っています。この五社ケ谷が旧地であり、十五世紀中頃の寛正年間に現在地に遷座したと言われています。
社伝に登場する三富野部連について、『新撰姓氏録』山城国神別に火明命の後裔であるという「三富部」が登載されており、この氏族を指していると思われます。近隣に鎮座する水主神社を奉斎した水主氏と同系で、『先代旧事本紀』には記載が無いものの、同様の系図が記されている『勘注系図』(籠神社の社家・海部氏に伝わる系図)には三富部氏は水主氏らと共に「玉勝山代根子命」の後裔である旨の註が付いています。
当社の御祭神の内、「天火明尊」「天香語山尊」「天村雲尊」は『先代旧事本紀』や『勘注系図』に記載されている三富部氏らの祖で、「阿比良依姫尊」は天村雲尊の后です。一方で「木花開耶姫尊」は全く別系統の神であり、何故この神が合祀されているのか不明です。
『山城国風土記』逸文に「荒海の社(祗の社)名は大歳神」とあることから、当社が式内社「荒見神社」ならば本来は大歳神を祀っていたことになります。
ただ、近世には「五社天神宮」と称し、式内論社としては田井の荒見神社の方が有力だとされていたようです。
当社は鬱蒼とした森にあると共に社殿の規模が大きく、慶長九年(1604年)に造営された国指定重要文化財の本殿もあることから、多くの人の崇敬を集めた歴史ある神社であることは間違いありません。
境内の様子
境内入口。境内は巨樹が多く、鬱蒼とした森になっています。鳥居は南向き。
境内は堀が一周しており、鳥居をくぐってすぐ堀を渡る石橋が架けられています。
鳥居をくぐると瓦葺切妻造の薬医門が建っています。薬医門とは前側に太い柱が左右に一本ずつ、後ろ側に細い柱が左右に一本ずつ、計四本の柱のある門のことで、寺院に多い一方で神社の神門としてはやや珍しいものです。
神門の手前に狛犬が配置されています。花崗岩製で愛嬌のあるものです。
神門をくぐると右側(東側)に手水舎があります。
神門の先は社殿の建つ空間となっています。鳥居や神門とはうってかわって社殿は西向きになっており、規模の割に空間は狭いため窮屈な印象があります。
拝殿は銅板葺・妻入入母屋造の舞殿風拝殿。拝殿の後方には妻入切妻造の幣殿が設けられています。
本殿は朱塗りの施された檜皮葺の三間社流造で、中門と透塀に囲われて建っています。慶長九年(1604年)に造営された貴重な建築で国指定重要文化財。地元・富野の大工の手による建立で桃山期の特徴が見られます。
本殿中門前の狛犬。こちらは砂岩製で、厳めしい顔つきです。
本殿の右側(南側)に境内社の「御霊神社」が鎮座しています。朱塗りの檜皮葺・一間社流造で、蟇股等に本殿より古い特徴が見られ、こちらも室町時代の貴重な建築として京都府登録文化財となっています。
本殿の後方、境内東側の森の中に「菊水神座」という湧水と石組があります。比較的最近のものですが、飛鳥時代の亀形石造物などの導水施設を彷彿させるものです。古くからこの地に湧水があったのでしょうか。
当社の手水舎の傍らには枝垂桜があり、春には綺麗な花を咲かせて境内を彩ります。国重文の本殿と相まって実に見事なものです。
当社の境内南側の玉垣に沿って水路が廻らされており、ここはカキツバタの群生地となっています。こちらも春に当社を美しく彩る花です。
当社の境内入口から西方には大きなクスノキの並木が続く道が伸びています。これはかつての当社の馬場であり、かつて流鏑馬等の神事が行われていたと言われています。当社周辺は開発により環境が大幅に変わったようです。
御朱印
由緒
案内板
荒見神社
案内板
御由緒
地図
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