社号 | 大祁於賀美神社 |
読み | たけおかみ/おおおかみ |
通称 | 山王権現 |
旧呼称 | 山王権現 |
鎮座地 | 大阪府羽曳野市大黒 |
旧国郡 | 河内国古市郡大黒村 |
御祭神 | 高龗神 |
社格 | 式内社、旧村社 |
例祭 | 10月6日 |
大祁於賀美神社の概要
大阪府羽曳野市大黒に鎮座する式内社です。「太祁於賀美神社」とも表記され、水神である「高龗神」を祀っています。
当社の創建・由緒は詳らかでありません。江戸時代には「山王権現」と称し、かつては山王信仰の神社だったようです。
当社は元は現在地の東側の丘の上に鎮座していました。明治四十年(1907年)に「壺井八幡宮」(羽曳野市壺井に鎮座 / 当時は「八幡神社」)に合祀され、昭和三十年(1955年)に復旧して現在地に再建されました。旧社地は土砂の採取工事により跡形もなくなってるようです。
現在地・旧社地ともに江戸時代は古市郡に属していましたが、『延喜式』神名帳には石川郡とあります。郡境の変遷があったようで、かつて石川の東側は北部が安宿部郡、当地を含む中部が石川郡となっていたと考えられます。
何故この地に水神が祀られていたのかは想像する外ありませんが、南方の水越川から石川に沿って「建水分神社」(千早赤阪村水分に鎮座)、「美具久留御魂神社」(富田林市宮町に鎮座)、そして当社と水に関する式内社が所在しており、これらと共に瀬戸内海式気候で降水の乏しい南河内における河川の水を司っていたのかもしれません。
或いは、丘の上に鎮座していたことから雨乞いの神として祀られたことも考えられます。
旧社地の様子がわからない上、式内社「大祁於賀美神社」が山王権現と呼ばれていた当社に比定された理由もよくわかりません。
謎多き神社ですが、合祀されつつも復旧された経緯からしても今も地元の崇敬の厚い神社だと言えることでしょう。
境内の様子
境内入口。集落の背後の丘に当社は鎮座しており、丘の上へ至る石段の下側、中ほど、上側の三カ所に鳥居が西向きに建っています。
石段を上っていくと狭い空間となっており、左側(北側)へ曲がると社殿が南向きに建っています。
社殿もまた小さなもので、拝殿は桟瓦葺の平入切妻造となっています。
拝殿前の狛犬。新しめの境内の中にあって、花崗岩製の狛犬はやや古そうな印象があります。
本殿は銅板葺の一間社流造。本殿に据えられてあった札には「太祁於賀美神社」との表記がありました。
境内は狭く、新しくてさっぱりとした印象ですが、「太神宮」と刻まれた灯籠等、石造物はやや古いと思われるものが配置されています。
かつて東方の丘の上に鎮座していた時代に置かれていたものでしょうか。
境内からの眺め。やや小高い丘にあるので広く見渡せます。
土砂の採取でなくなってしまったという旧社地からの眺めはどんなものだったのでしょう。
由緒
案内板
大祁於賀美神社
『河内名所図会』
地図