宿奈川田神社 （大阪府柏原市高井田）

宿奈川田神社の概要

大阪府柏原市高井田に鎮座する式内社で、同じく高井田に鎮座する「天湯川田神社」と対になる神社です。

当社の創建、由緒等は詳らかでありません。「天湯川田神社」の由緒によれば当社は鏡を祀っているようです。

当社は「天湯川田神社」と同様、当地に居住した「鳥取氏」が祖を祀ったと考えられます。

『新撰姓氏録』によれば鳥取氏の祖として「角凝魂命」「天湯河桁命」などの名が見え、特に後者は「天湯川田神社」の祭神となっていますが、当社の御祭神「宿奈彦根命」の名は見えません。

ただ物部系の史書『先代旧事本紀』によればニギハヤヒの降臨の際に仕えた三十二神の中に「鳥取連」の祖であるという「少彦根命」が見え、一説にこのスクナヒコネはアメノユカワタナの子であるともされています。当社はこの神を祀ったものでしょう。

一方で社名から推して「スクナヒコナ」を祀るとする説もあり、また鳥取氏の祖である「スクナヒコネ」と同神とする説もあります。ただ鳥取氏との繋がりは薄いため別神とするのが有力です。

とはいえ当社は万病の治癒に験のある神社として厚く崇敬されており、いつしかスクナヒコナと混同されて同神の医薬神としての神格が反映されている可能性があります。

なお、鳥取氏についての詳細は「天湯川田神社」の記事もご参照ください。

また当社は白坂神社とも呼ばれており、安堂町にある「二宮神社」は鎮座地の小字を白坂と言うようで、一説にそこが旧地であるとも言われています。

一方、当社のすぐ北方の崖には「高井田横穴群」と呼ばれる六世紀中頃～七世紀初め頃に造られた多くの横穴墓があります。

横穴墓は九州から伝わったと考えられますが、或いは鳥取氏の祖となる集団が造ったものである可能性も考えられるかもしれません。

大和川の対岸の玉手山にも「安福寺横穴群」があり（詳細は「伯太彦神社」の記事を参照）、どういうわけか当地周辺に限って横穴墓が数多く造られたようです。

当地は大和川が大和の山間部から河内の平野部へ抜ける地点にあり、まさに境界の地であることから、古くは死者の世界に通じる地と見做されていたのかもしれません。

境内の様子

境内入口。大和川の堤防上となる府道183号に面して鳥居が南向きに建っています。

「天湯川田神社」と違って大和川すぐ側の低地にあり、狭い境内となっています。

鳥居をくぐって右側（東側）に手水舎があります。

鳥居をくぐってすぐ正面に社殿が南向きに並んでいます。

拝殿は素朴な桟瓦葺の平入切妻造。鈴の緒は右に寄せて設置されています。

拝殿後方、ブロック塀に囲まれて建つ本殿は銅板葺の一間社流造で鮮やかな朱塗りが施されています。

また当社の御神木である桃の枝葉を用いて病を治癒する所作もあり、これに因んで桃の石像も置かれてあります。

境内の西側には「稲荷大神」が東向きに鎮座。

朱鳥居が建ち、奥に朱塗りの覆屋に銅板葺・流見世棚造の社殿が納められています。

高井田横穴群

当社の背後に聳える崖には「高井田横穴群」があります。

古墳時代後期、六世紀中頃～七世紀初めにかけて造られた大量の横穴墓で、あちこちにポコポコと穴があります。

内部は横穴式石室のように羨道、玄室があり、比較的珍しいものとなっています。

横穴墓は全国各地に見られますが、畿内では当地付近と京都府・奈良県の境界付近にしか見られず、古墳が主な埋葬施設だった当時において極めて珍しいものだと言えます。

高井田横穴群の横穴には一部で線刻画が見られます。

これら線刻画は被葬者の生前の業績だとする説、死後の世界を表したとする説などがありますがはっきりとしたことはわかりません。

ただ、当時の服装や生活等を知ることができる貴重な資料であることは間違いありません。

果たしてこれら横穴墓を造ったのはどういった人々だったのでしょうか。

タマ姫

神社の後ろの山に沢山の穴ぼこが！なんか不思議な光景だね！

これは昔の人のお墓よ。古墳以外にもこういう形態のお墓があって、この付近には結構多いのよ。

トヨ姫

由緒

地図

大阪府柏原市高井田

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