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佐牙神社 (京都府京田辺市宮津佐牙垣内)

社号 佐牙神社
読み さが
通称
旧呼称 天津神吉田大明神、天神宮 等
鎮座地 京都府京田辺市宮津佐牙垣内
旧国郡 山城国綴喜郡江津村
御祭神 佐牙彌豆男神、佐牙彌豆女神
社格 式内社
例祭 10月16日、17日、18日

 

佐牙神社の概要

京都府京田辺市宮津佐牙垣内に鎮座する式内社です。

社伝によれば、敏達天皇二年(573年)の創建で、造酒司の奉幣があったとも伝えられ、酒造と関係の深い神社であると言われています。

現在の御祭神「佐牙彌豆男神」「佐牙彌豆女神」は『延喜式』神名帳の宮中神、造酒司坐神の内、酒殿神社に祀られる「酒彌豆男神」「酒彌豆女神」のことと思われ、酒造りを守護する神であると考えられます。

当社の北西2km強には式内社の「酒屋神社」が鎮座しており、当社と共に酒造に関する神社であると考えられています。『延喜式』神名帳でも当社の次に酒屋神社が記載されており、意図的に連続して記載したものである可能性がありそうです。

一方、当社は「東朱智社」とも称したと伝えられており、西方の天王地区の山腹に鎮座する式内社「朱智神社」とも関係があったのかもしれません。

また、社伝によれば当社は北西の山本という地に鎮座していましたが、十五世紀半ばの永享年間に現在地に遷したと伝えられています。その旧地は現在の三山木垣内にあり、「大神宮跡」と呼ばれる数本の木が建つ空間で、当社の御旅所となっているようです。

山本は地名としては消失しましたが、『倭名類聚抄』の山城国綴喜郡に「山本郷」が記載されています。またかつて旧地の付近には大和から北方へ通じる官道である山陽道が整備され、『続日本紀』に「山背国綴喜郡山本駅」が設置されたことが記されており、この地は交通の要衝だったようです。

となれば、当社は「酒(さけ)」の神というよりも、災厄や悪霊などを防ぐ「避け(さけ)」の神だったと見る考え方もできるかもしれません。旧地の立地からしても木津川にあまりに近く、木津川の水流の安寧や水運の安全を守護する神としての神格を持ち合わせていたとも考えられそうです。

いずれにしても、木津川に近い低地から丘陵上にあたる現在地へ遷座したことで神格が変わったことが想像されます。江戸時代には「天津神吉田大明神」と称したようで、詳細は不明ながらも天津神を祀ると見做されていたようです。少なくとも「酒の神」としての信仰はほぼ忘れられてしまっていたことでしょう。

とはいえ、当社の本殿は天正十三年(1585年)に造営された貴重な建築で国指定重要文化財となっています。たとえ信仰が変わったとしても、神社として大切に守り伝えてきたのは間違いありません。

 

境内の様子

一の鳥居は境内の130mほど東方に東向きに建っており、鳥居をくぐると針葉樹の並ぶ参道が伸びています。

 

参道を進んでいくと鬱蒼とした丘陵があり、その麓に二の鳥居が建っています。二の鳥居は朱塗りの両部鳥居。

 

社殿は丘陵上に鎮座しているため、二の鳥居の先には急な石段が続いています。

 

石段の途中に平坦な広い空間があり、ここにかつて当社の神宮寺だった「恵日寺」がありました。明治の神仏分離により恵日寺は廃寺となり、安置されていた南北朝時代の不動明王像を含め各種の仏像は近隣の寺へ移されています。

後述の通り当社の鎮座する丘陵には奈良時代以前に創建された古代寺院(三山木廃寺)があったとされ、当地における仏教文化は極めて古く遡ることになります。

案内板「恵日寺跡」

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恵日寺跡

京田辺市宮津佐牙垣内一六四番地

明治初期の神仏分離により、佐牙神社境内にあった神宮寺の恵日寺も廃寺となった。そのため、本尊の不動明王像(南北朝時代)と大威徳明王像・軍荼利明王像が近くの正福寺(江津)に、降三世明王像・金剛夜叉明王像と観音堂にあった千手観音立像が寿宝寺(山本)にそれぞれ移され、大般若経も三百巻ずつ両寺に分けられたと伝えられている。

文政十二年(一八二九)の古文書によると秋祭の御旅所への神輿渡御には寿宝寺(山本)と、恵日寺の僧侶も列に加わっている記述が見られる。また、一月十日の佐牙神社の初座(弓始・弓講)には、恵日寺の法印が弓射の儀をしたと伝える。

なお、佐牙神社の本殿の南隣の丘陵地に奈良時代以前に創建された寺があったとみられ、現在、三山木廃寺跡の碑が建っている。

京田辺市教育委員会
京田辺市文化財保護委員会

 

社殿へはこの空間からさらに石段を上っていきます。

 

石段を上って右側(北側)に手水舎があります。

 

石段上の空間の正面に社殿が東向きに並んでいます。拝殿は瓦葺の平入切妻造。

 

拝殿前の狛犬は花崗岩製の比較的新しいもの。

 

拝殿の後方に二棟の本殿が建っていますが、塀に囲われていてよく見えません。左側(南殿)に「佐牙彌豆女神」を、右側(北殿)に「佐牙彌豆男神」を祀っています。

いずれも朱塗りの一間社春日造で、天正十三年(1585年)に再建された貴重な建築として国指定重要文化財となっています。

 

社殿の建つ空間の南東側には伊勢神宮への遥拝所があり、立派な鳥居も建っています。

 

遥拝所の右側に建つこの建物は何なのでしょう。絵馬が掲げられているでもなく、腰掛が設置されているわけでもありません。座小屋のような神事の際の詰所でしょうか。

 

境内の傍らに小さな祠が建っています。社名・御祭神ともに不明。

 

当社の鎮座する丘陵からは古代の瓦が採集されており、奈良時代以前に寺院があったことが知られています。「三山木廃寺」と呼ばれており、文献等には記録が見えないもののかなりの大寺院だったことが推定されています。近隣の寺院に古い仏像が伝えられており、元はこの寺院にあった可能性も考えられています。

案内板「三山木廃寺跡」

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三山木廃寺跡

京田辺市宮津

この付近の丘陵地からは数多くの古代の瓦が採集されている。瓦の年代は飛鳥時代後期から平安時代までのものがあり、その当時寺院があったと考えられている。寺院名は文献等にみられないため、地名により三山木廃寺として知られ、かなりの大寺院であったことが想像される。丘陵のふもとには、奈良時代の官道である山陽道がほぼ南北に通り、道沿いには山本駅も存在するという交通の要衝であった。

瓦には、普賢寺跡(現在の観音寺の前身)や平城京と同じ様式のものもあるほか、この寺独特の宝相華文で飾られた瓦もみられる。

現在山本の寿宝寺にある千手観音立像(国指定重要文化財)、寿宝寺・正福寺にある五大明王像等もこの廃寺にあった像である可能性も考えられる。

なお、瓦の一部は市立中央公民館展示室で展示されている。

京田辺市教育委員会
京田辺市文化財保護委員会

 

旧地(大神宮跡)

当社から北東1.2kmほどの田圃の中に当社の旧地と伝えられる一画があり、「大神宮跡」と呼ばれています。

数メートル四方の狭い空間に五本程度の針葉樹が生えています。

 

「大神宮跡」には石が積まれている他は特に何もありません。

現在は当社の御旅所になっており、例祭の10月17日には神輿の渡御があり、20日には宮座の太夫8人がここへお参りします。

案内板「大神宮跡」

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大神宮跡

京田辺市三山木垣内三三番地の二

現在江津区にある式内佐牙神社の旧跡で、かってはここにあった。

社伝によれば、敏達天皇二年(五七三)の創祀といい、造酒司の奉幣があったという。佐牙神社は、水害のために宮津に移されたが、山本を御旅所とし、祭日(十月十七日)には、神輿の渡御がある。

十月二十日には、山本宮座の太夫八人がこの地へお参りする。

京田辺市教育委員会
京田辺市文化財保護委員会

 

タマヨリ姫
丘の上の厳かな神社って感じだね!本殿も古い建物みたいだし、古くからの聖地だったのかな。
奈良時代以前からこの丘に大きなお寺があったと言われてるわ。でもこの神社自体は北東の低地から遷ってきたって伝えられてるのよ。
トヨタマ姫

 

由緒

案内板「佐牙神社」

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佐牙神社

京田辺市宮津佐牙垣内一六四番地

社伝によると、敏達天皇二年(五七三)の創建と伝える式内社である。造酒司の奉幣があったとも伝え、我が国の酒づくりの発祥と関係が深いものとみられている。大同元年(八〇六)頃には、摂津国に封戸九戸があった。地元の古文書によると、山本にあったものを永享年間(一四二九~一四四一)に現在地に移すとある。今も山本に御旅所があり、祭日には神輿の渡御がある。なお、江津の遠藤川南側の木津川との合流点付近にあったとも伝える。佐牙弥豆男神(北殿)と佐牙弥豆女神(南殿)を祭る。現本殿(二棟・国指定重要文化財)は、天正十三年(一五八五)の再建とされるが、形式は古く、ことに身舎の蟇股は左右対称の図案で室町時代初期と考えられ、建物の一部の再利用とみられる。南北二棟とも同形式の春日造で、屋根は檜皮葺である。

例祭・御幸祭 十月十七日(現在は体育の日の前日)
還幸祭 十月十八日(現在は体育の日)

京田辺市教育委員会
京田辺市文化財保護委員会

 

地図

京都府京田辺市宮津佐牙垣内

 

佐牙神社旧地(大神宮跡)


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