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雨祈神社 (兵庫県宍粟市山崎町千本屋)

社号雨祈神社
読みあめのり
通称
旧呼称貴船社、貴船大明神 等
鎮座地兵庫県宍粟市山崎町千本屋
旧国郡播磨国宍粟郡千本屋村
御祭神高龗神、火産霊神、奥津比古命、奥津比賣命、武速須佐之男命
社格式内社、旧郷社
例祭10月9日

 

雨祈神社の概要

兵庫県宍粟市山崎町千本屋に鎮座する神社です。

当社の創建・由緒は詳らかでありません。

社名から推して祈雨の神を祀っていることは明らかで、江戸時代には「貴船社」「貴船大明神」等と称し、現在も水神である「高龗神」を祀っています。

当社本殿の内陣には「ヘーサラバーサラ」と呼ばれる円石があるといい、かつて旱魃の際には神前に青竹で棚を作り、浄水を盛った器を置いてその上に板を渡し、ヘーサラバーサラを安置して雨乞いを祈願し、後に器の水を注いだと言われています。

なお一般にはヘイサラバサラとは牛馬の胃腸の中に生じる球形の結石を指し、ポルトガル語の「pedra bezoar」に由来するとされる語で、主に解毒剤として用いられました。

これはしばしば雨乞いにも用いられたと言われ、当社の「ヘーサラバーサラ」はいつしかこれに類似した石を代用したのが定着したものかもしれません。

また当社拝殿には蛇を象った綱が掲げられており、当社の神が龍蛇の類であることを示しています。

その一方で蝮除けの神としても信仰されたといい、境内の砂を持ち帰って蝮の出そうな場所に撒いておくと蝮が出ないと言われていました。

蝮除けの信仰は愛知県知立市西町神田に鎮座する「知立神社」がよく知られているのに対し、水神信仰の本社である京都市左京区の「貴船神社」では見られないため注目すべきものでしょう。

 

境内の様子

当社は宍粟市の中心である山崎地区の近く、千本屋地区に鎮座しています。

当地周辺は山崎断層があり、複数の河川が揖保川に合流する比較的広い平野を形成しています。

当社はその平野の低地部にありながらも河川からはやや離れた地にあり、水神を祀るにはやや珍しい地であると言えます。

 

境内の南端に鳥居が南向きに建っており、境内入口となっています。

 

鳥居をくぐると注連柱と提灯台が建っています。

 

雨祈神社

雨祈神社

境内を奥へ進むと社殿が南向きに並んでいます。

拝殿は銅板葺の妻入入母屋造で、舞殿のような方形かつ壁の無い構造となっています。

このような舞殿状の拝殿は京都府に多く見られ、当サイトでは「舞殿風拝殿」と呼んで分類しています。

舞殿風拝殿は兵庫県内では旧・丹波国など京都に近い東部地域で見られるものの、播磨西部では珍しいものです。

 

この拝殿の上部を見ると蛇を模した綱が掛けられています。

頭部は上下に分かれて顎を表現し、牙と舌も付けられています。

当社の神が降雨を司る龍蛇の類の水神であることを端的に示したものでしょう。

 

拝殿前に配置されている狛犬。

 

拝殿後方は透塀が設けられ奥の空間とを仕切っています。この中央には妻入切妻造の中門が設けられています。

 

中門・透塀の奥に塀に囲われて銅板葺の一間社入母屋造に向拝の付いた本殿が建っています。

この本殿の内陣に「ヘーサラバーサラ」と呼ばれる石があるといい、かつて雨乞いに用いられたようです。

 

本社社殿の左側(西側)に「稲荷大明神」が南向きに鎮座。

多くの朱鳥居が並び、その奥に銅板葺の一間社流造の社殿が建っています。

 

本社拝殿前の右側(東側)に桟瓦葺の平入寄棟造の建物が西向きに建っています。

割拝殿のような構造で中央が土間で左右に床が設けられています。

屋根裏は絵馬が掲げられており絵馬殿として機能しています。神事の際には詰所として用いられるのかもしれません。

 

タマ姫
拝殿に藁でできた蛇さんがいる!珍しい!
この神社の神様がどのような神様かよく表すものだと思うわ。
トヨ姫

 

由緒

案内板

郷社 雨祈神社

 

地図

兵庫県宍粟市山崎町千本屋

 

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