社号 | 大田神社 |
読み | おおた |
通称 | |
旧呼称 | |
鎮座地 | 京都府京都市北区上賀茂本山 |
旧国郡 | 山城国愛宕郡上賀茂村 |
御祭神 | 天鈿女命 |
社格 | 式内社、賀茂別雷神社摂社 |
例祭 | 4月10日、11月10日 |
式内社
大田神社の概要
京都府京都市北区上賀茂本山に鎮座する式内社で、賀茂別雷神社(上賀茂神社)の境外摂社です。
当社の創建・由緒は不明です。口伝では、賀茂氏がこの地に入ってくる前に、壬生氏、丹生氏、小野氏、六人部氏といった氏族が当社を奉斎していたが、後に賀茂氏がこの地に入ってから賀茂社に属するようになったとも言われています。
ただ、これらの氏族は出自がバラバラであることに加え、彼らがこの地でどのように活動していたのか、そもそも本当にこの地にいたのか、今からでは確かめることが出来ません。
当社の御祭神である「天鈿女命」は朝廷の祭祀で舞などの芸能を担う「猿女君」の祖神で、芸能の神です。また当社参道にある「百大夫社」は傀儡師(人形使い)や遊女らの信仰した神であり、こちらも芸能の神です。どうも当社は賀茂氏の祭祀とは一線を画した、特に芸能に特化した人々の神として祀られてきたような印象です。上記の口伝のように、元は賀茂氏の神社でなかったとする伝承が関係しているのかもしれません。
当社境内の東側にある池は「大田の沢」と呼ばれ、平安時代からカキツバタの名所として歌に詠まれてきました。現在でも5月中旬になるとカキツバタが咲き誇り、全国有数のカキツバタの群落として有名です。
境内の様子
境内入口。南向きの朱鳥居が建っています。訪れた時は爽やかな初夏で、青空と新緑、玉垣・鳥居の朱の対比が大変美しく感じました。
鳥居をくぐったところ。参道が森の中へ続いています。新緑が美しいことは落葉樹が多いことでもあり、古くからの森でないのかもしれません。
一方でこのために秋には美しい紅葉を楽しむことができます(後述)。
参道を進み緩い石段を上っていくと森の中に社殿が見えてきます。
社殿の手前、参道の右側(東側)に手水鉢があります。手水は天然の水を引いているようです。
傍らには賀茂社の象徴であるフタバアオイの鉢も置かれていました。
参道の奥に南向きの社殿が並んでいます。
拝殿は檜皮葺の妻入の入母屋造で、一見京都に多い舞殿風拝殿のように見えますが、中央が通路となっており割拝殿の形式になっています。舞殿風拝殿と割拝殿の折衷型と言えるかもしれません。
本殿は檜皮葺の一間社流造。
参道の途中、左側(西側)に二社の境内社が並んでいます。手前側に鎮座するのは「百大夫社」。御祭神は「船玉神」。
一般に百大夫(百太夫)は傀儡師や遊女らの信仰した芸能の神で、西宮神社に鎮座するものが有名です。ただ、この神を船玉神とするのは極めて珍しいように思われます。
参道左側(西側)の奥側に鎮座するのは「鎮守社」。御祭神は「大国主神」「少彦名神」。
小豆三粒を炒って半紙に包み供えるとはしかにかからないと伝えられており、病気平癒の神として信仰されています。
案内板
末社 鎮守社
また、参道の右側(東側)には「白髭神社」が鎮座しています。御祭神は「猿田彦神」。本社の御祭神である天鈿女命と夫婦の関係にある神です。
当社の境内入口の手前に「福徳神社」が鎮座しています。御祭神は「福徳神」。
足腰の神として信仰されています。道祖神的な神格なのでしょうか。
当社境内の東側にある「大田の沢」ではカキツバタの群落が見られ、国の天然記念物に指定されています。一時は獣害で壊滅的な被害を受けましたが、現在は対策が施され5月中旬には再び綺麗な花を楽しめるようになっています。
大田の沢のカキツバタは平安時代から有名で、藤原俊成も「神山や 大田の沢の かきつばた ふかきたのみは 色にみゆらむ」の歌を詠んでいます。
古くからの伝承として、「雲ケ畑の池と底でつながっている」「池に手を入れると手が腐る」などとも言われてきました。
また、秋の終わりには当社境内の楓が赤く染まり、隠れた紅葉の名所として美しい光景を楽しめます。
なお、当社の紅葉はどういうわけか極めて遅く、京都の他の紅葉(近隣の賀茂別雷神社など)が散ってから当社の紅葉が見頃を迎えることが多いため紅葉狩りには注意が必要です。
由緒
案内板
大田神社
案内板
賀茂別雷神社第三摂社 式内 大田神社
地図
関連する寺社等
賀茂別雷神社 (京都府京都市北区上賀茂本山)
社号 賀茂別雷神社 読み かもわけいかづち 通称 上賀茂神社 等 旧呼称 鎮座地 京都府京都市北区上賀茂本山 旧国郡 山城国愛宕郡上加茂村 御祭神 賀茂別雷神 社格 式内社、山城国一宮、二十二社、旧官 ...
続きを見る
賀茂別雷神社境内社 (京都府京都市北区上賀茂本山)
お知らせ 賀茂別雷神社本社については別記事にて紹介しています。そちらも併せてご覧ください。 賀茂別雷神社の境内社 社殿付近の境内社 片山御子神社 「片岡社」とも呼ばれています。楼門の対岸、玉橋のすぐ側 ...
続きを見る
久我神社 (京都府京都市北区紫竹下竹殿町)
社号 久我神社 読み くがじんじゃ 通称 旧呼称 氏神社、大宮 等 鎮座地 京都府京都市北区紫竹下竹殿町 旧国郡 山城国愛宕郡大宮村 御祭神 賀茂建角身命 社格 式内社、賀茂別雷神社摂社 例祭 4月1 ...
続きを見る