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桧原神社 (奈良県桜井市三輪)

社号 檜原神社
読み ひばら
通称
旧呼称
鎮座地 奈良県桜井市三輪
旧国郡 大和国式上郡三輪村
御祭神 天照若御魂神、伊奘諾命、伊奘冊命
社格 大神神社摂社、式内社
例祭 2月15日

 

檜原神社の概要

奈良県桜井市三輪に鎮座する神社です。大神神社の摂社で、式内社「卷向坐若御魂神社」の論社の一つとされていますが諸説あります。

社伝によれば、崇神天皇の御代、天皇が宮中に天照大神を祀るのを畏れたため、豊鍬入姫命に託して倭笠縫邑(やまとかさぬいむら)に同神の霊を祀ったのが当地であり、同神が伊勢へ遷ってからも神跡として引き続き祭祀を行ったのが当社であると伝えられています。

豊鍬入姫命が天照大神の祭祀を託され倭笠縫邑に祀ったことは『日本書紀』崇神天皇六年の条に記されています。

『日本書紀』(大意)

この年、百姓は流離し、あるいは背くなど徳で以て治めるのが難しい状況であった。これより先、天照大神と倭大国魂神の二神を天皇の大殿の内に祀っていたが、その神の勢いを畏れ、共に住むことに不安を抱いた。このため天照大神は豊鍬入姫命に託して倭笠縫邑に祀り、「磯城神籬(しきひもろぎ)」を立てた。

このように崇神天皇の御代まで天照大神と倭大国魂神は天皇と「同床共殿」で祀られていましたが、これを畏れたために宮中の外の然るべき地にそれぞれの神を祀らせました。

天照大神を豊鍬入姫命に託して祀らせたのが「倭笠縫邑」であり、当社の社伝では当地がそれであるとしています。

ちなみに倭大国魂神は渟名城入姫命に祀らせたものの支障があったので市磯長尾市に祀らせて現在の「大和神社」として祭祀されています。

倭笠縫邑に祀られた天照大神のその後については『日本書紀』垂仁天皇二十五年三月の条に記されています。

『日本書紀』(大意)

天照大神は豊鍬入姫命から倭姫命に託された。倭姫命は大神の鎮座すべき地を求めて莵田筱幡(うだささはた/現在の奈良県宇陀市or宇陀郡)、更に還って近江国へ入り、東の美濃国へ回り、伊勢国に至った。この時天照大神は倭姫命に「この神風の伊勢国は『常世の浪の重浪(しきなみ)帰(よ)する』国である。実に良い国だ。この国にいたいと思う」と告げた。神の教えのままに祠を伊勢国に建て、五十鈴川の川上に斎宮を設け、これを磯宮と呼び、天照大神の始めて天より降るところとなった。

このように天照大神の祭祀は豊鍬入姫命から倭姫命に代わって託され、各地を転々として最終的に伊勢に祀られたとあります。これが現在の伊勢神宮の内宮です。

天照大神が各地を転々とする様子は『皇太神宮儀式帳』『倭姫命世記』などに詳しく記されていますがここでは割愛します。

このように天照大神が宮中から伊勢へ遷る間に祀られた地を「元伊勢」と呼び、当社もその一つであるとされています。

ただし「倭笠縫邑」の比定地は当地に確定したものでなく、田原本町の「多神社」、「笠縫神社」、桜井市の「志貴御県坐神社」、「笠山荒神宮」など比定地は複数の説があります。

ただ、当社は江戸時代には現在と同様に三ツ鳥居が建っていたことが知られ、古くからの神域だったことが窺われます。

三ツ鳥居は大神神社の拝殿後方にもある独特の鳥居です。三ツ鳥居が当社にも建てられていることは、大神神社との関係の深さと共に三輪山への信仰を示すものと言えるのではないでしょうか。

 

境内の様子

桧原神社

当社は大神神社の北方約1km、山の辺の道に沿って鎮座しています。山の辺の道から出入りする場合は境内の南北の入口からになりますが、表参道は境内の西側です。

境内の西側の入口には石段があり、その上に注連柱が西向きに建っています。鳥居はありません。

 

注連柱をくぐった様子。広い空間となっており、樹木の少ない開放的な境内となっています。

 

参道の左側(北側)に真新しい花崗岩製の手水鉢が設置されています。

 

参道を進むと数段のちょっとした石段があり、その奥は瑞垣で仕切られ拝所が設けられています。

瑞垣の奥は手前側とはうってかわって樹木が鬱蒼と茂っており神域としての威厳が感じられます。

 

桧原神社

桧原神社 三ツ鳥居

当社には社殿が無く、瑞垣の奥の石段上に「三ツ鳥居」が西向きに建っているのみです。

三ツ鳥居とは明神鳥居三基を横に並べて一基としたもので、四本の柱で構成された独特の鳥居です。

大神神社の拝殿後方にもあり、三輪山を遥拝するための鳥居と考えられます。

元伊勢であるとする社伝を見れば本来の当社は大神神社と関係が薄いように思えますが、当社もまた大神神社と同様に三輪山を神体山として遥拝する信仰に基づく神社なのかもしれません。

案内板「桧原神社三ツ鳥居」

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桧原神社三ツ鳥居

「三ツ鳥居」は明神型の鳥居三つを一つに組み合わせた鳥居です 大神神社の社蔵文書には本社大神神社と同様に桧原神社にも三ツ鳥居が描写され「古来一社の神秘なり」と記してあります

しかしいつ頃どのようにして設置されたのかは不詳です

昭和四十年に大切な日本の文化を伝承すべく古儀に倣い再建されましたが爾来五十年経過し風雨による傷みが激しい状態でしたのでこの度建替えました 御用材は第六十二回神宮式年遷宮による殿舎撤去材の中から当社の創始に御神縁の深い倭姫宮参道鳥居の古材を譲り受けたものであります

 

三ツ鳥居の手前左側(北側)には「豊鍬入姫宮」が西向きに鎮座。御祭神は「豊鍬入姫命」。

檜皮葺の妻入切妻造の社殿。

豊鍬入姫命は崇神天皇の皇女で、天照大神の神霊を託され倭笠縫邑に同神を祀った人物です。

当社は古くからの神社でなく、昭和六十一年(1986年)に創建されたものです。

案内板「大神神社末社 豊鍬入姫宮」

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大神神社末社 豊鍬入姫宮

御祭神

豊鍬入姫命

例祭

十一月五日

月次祭

毎年□五日

(御由緒)

御祭神は第十代崇神天皇の皇女であります

皇女は「天照大御神」をこの「倭笠縫邑」にお遷しし、初代の御杖代(斎王)として奉仕されたその威徳を尊び奉り、昭和六十一年十一月五日に創祀されたものであります

斎王とは天皇にかわって大神様にお仕えになる方でその伝統は脈々と受け継がれ、現代に於いても皇室関係の方がご奉仕されています

 

境内から注連柱越しに西方を見た様子。参道の先に二上山が見えます。

 

タマヨリ姫
伊勢神宮って最初から伊勢で祀られたわけじゃなかったんだ!まずここで神様が祀られたんだね!
ここのように伊勢神宮に祀られる前に神様が祀られた場所を「元伊勢」って言うのよ。ただここじゃなかったって説もあるみたいね。
トヨタマ姫

 

御朱印

 

由緒

案内板「大神神社摂社 檜原神社」

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大神神社摂社 檜原神社

御祭神

天照大神若御魂神
伊弉諾命
伊弉冊命

例祭

二月十五日

檜原神社祭

一月十五日・八月二十八日

月次祭

毎月十五日

(御由緒)

第十代崇神天皇の御代、それまで皇居で祀られていた「天照大御神」を皇女豊鍬入姫命に託しここ檜原の地(倭笠縫邑)に遷しお祀りしたのが始まりです

その後、大神様は第十一代垂仁天皇二十五年に永久の宮居を求め各地を巡幸され、最後に伊勢の五十鈴川の上流に御鎮まり、これが伊勢の神宮(内宮)の創祀と云われる

案内板「(元伊勢)桧原神社と豊鍬入姫宮の御由緒」

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(元伊勢)桧原神社と豊鍬入姫宮の御由緒

大神神社の摂社「桧原神社」は、天照大御神を、末社の「豊鍬入姫宮」(向かって左の建物)は崇神天皇の皇女、豊鍬入姫命をお祀りしています。

第十代崇神天皇の御代まで、皇祖である天照大御神は宮中にて「同床共殿」でお祀りされていました。同天皇の六年初めて皇女、豊鍬入姫命(初代の斎王)に託され宮中を離れ、この「倭笠縫邑」に「磯城神籬」を立ててお祀りされました。その神蹟は実にこの桧原の地であり、大御神の伊勢御遷幸の後もその御蹟を尊崇し、桧原神社として大御神を引続きお祀りしてきました。そのことより、この地を今に「元伊勢」と呼んでいます。桧原神社はまた日原社とも称し、古来社頭の規模などは本社である大神神社に同じく、三ツ鳥居を有していることが室町時代以来の古図に明らかであります。

萬葉集には「三輪の桧原」とうたわれ山の辺の道の歌枕となり、西につづく桧原台地は大和国中を一望できる景勝の地であり、麓の茅原・芝には「笠縫」の古称が残っています。

また「茅原(ちはら)」は、日本書紀崇神天皇七年条の「神麻茅原(かむあさぢはら)」の地とされています。更に西方の箸中には、豊鍬入姫命の御陵と伝える「ホケノ山古墳(内行花文鏡出土・社蔵)」があります。

大神神社

 

地図

奈良県桜井市三輪

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