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天岩戸神社 (奈良県橿原市南浦町)

社号天岩戸神社
読みあまのいわと
通称
旧呼称
鎮座地奈良県橿原市南浦町
旧国郡大和国十市郡南浦村
御祭神天照大神
社格式内社
例祭9月16日

 

天岩戸神社の概要

奈良県橿原市南浦町に鎮座する神社です。中町に鎮座する「阪門神社」と共に式内社「坂門神社」の論社となっています。

室町時代の文書『和州五郡神社神名帳大略注解』(通称『五郡神社記』)は式内社「坂門神社」について次のように記しています。

  • 神戸郷香山南麓にある。
  • 俗に亀岩屋という。
  • 『亀卜伝授秘抄』によれば、祭神は亀津比売命である。
  • 神殿が無くただ岩窟があるのみである。
  • 筆者が考案するに、亀岩屋を世俗に天岩窟と言うのは甚だ誤りである。また岩屋の辺りに大木を産出し香山坂樹(カクヤマノサカキ)という。葉は榊の葉に似ているがそうではない。その葉は大きく薄い。或いは神楽に用いるところの「飫憩木葉(オケノコノハ)」はこれであるという。

これを受けて大正三年(1914年)に刊行の『大和志料』は、占いに供する亀の霊を「亀津比女命」「太詔戸命」と称して天香久山の岩窟に祀ったものを「亀岩屋」と呼んだものとし、式内社「坂門神社」を天香久山の南麓に鎮座する当社に比定しています。

当社には本殿が無く、代わりに背後の竹藪の中に数個の岩石があり、これを「亀岩屋」と呼んだものと思われます。

この岩石が磐座と呼ぶべきものかは何とも言えませんが、この地にて亀を用いた占い(恐らく亀卜であろう / 亀卜とは亀の甲羅を焼き、その割れ目の形状で結果を判断するもの)が行われたとしたら、神に意を問う祭場としての岩石となりましょう。

一方で亀卜に奉仕した巫女を「亀津比売命」と呼んだとするならば、巫女を神格化したものと言え、この岩石はその「亀津比売命」が降臨する(宿る)神籬、磐座と言えるかもしれません。

『五郡神社記』は、誤りであるとしながらも、この当時に世俗として「天岩窟」と呼ばれていたことを記しており、これは現在の社名「天岩戸神社」に受け継がれているものと思われます。

いつの頃か記紀の天岩戸の説話と結びつけられたものと思われ、現在では天岩戸の絵馬や天岩戸説話を解説したパネル等が掲げられており、現在では専ら天岩戸説話に関連する神社とされているようです。

とはいえ上述のように本殿を設けず岩石を拝する形式を保っている点では、古くからの素朴な岩石信仰を今に伝えていると言えるものでしょう。

 

なお、亀の占いに関するらしい当社が『延喜式』神名帳において「坂門」と号する理由は不明です。『式内社調査報告』では「坂門」を「坂のあるところ」「最も低いところ」の二つの意味があるとして、その地形から中町の「阪門神社」よりも当社の方が式内社の可能性が高いのではとしています。

これに対して「坂」を「境界」の意とすれば「境界の出入口」とも取れ、或いは当社の岩石が異界との境界と認識されていたとも考えられるかもしれません。

 

また、『日本書紀』の神武東征においては天香久山の土で以て祭祀用の土器を造り神を祀った結果、賊軍の平定を成し遂げたと記されることから、天香久山の土は大和国を平定するのに必要な特別な霊力を持ったと認識されていたと考えられます。(詳しくは「畝尾坐健土安神社」の記事を参照)

このような山にある岩石もまた、古くは猶更のこと特別な霊力があったと考えられていたのかもしれません。

 

境内の様子

当社は天香久山の南麓、南浦町の集落の中に鎮座しています。

集落の中の道から分岐して当社の入口があり、西向きの鳥居が建っています。

 

鳥居をくぐり参道を左(北側)へ曲がった様子。

奥に社殿が見え、その背後は鬱蒼とした竹藪になっています。

 

ちょっとした石段を上って右側(東側)に手水鉢が配置されています。柄杓が置かれているものの導水設備はありません。

 

天岩戸神社

天岩戸神社

正面奥に桟瓦葺・平入切妻造の拝殿が南向きに建っています。

 

拝殿内には天岩戸の段を描いた絵馬や天岩戸説話を解説したパネルが掲げられており、現在では天岩戸関連の神社とされているようです。

 

天岩戸神社

天岩戸神社

拝殿背後に本殿は無く、代わりに基壇上に玉垣が、そしてその奥に拝所が設けられています。

 

天岩戸神社

拝所の奥の竹藪の中に複数の岩石があり、これを古くは「亀岩屋」と呼んだものでしょう。

この岩石の位置付けを確定するのは困難ですが、現状では当社の御神体となっています。

また伝承ではこの竹藪の真竹を古くから「七本竹」と称し、毎年七本ずつ生え変わると言われています。

 

拝殿の左側(西側)にある桟瓦葺・切妻造の建物。用途不明ですが神饌所もしくは神庫でしょうか。

 

麓に当社が鎮座する天香久山を南から見た様子。

天香久山の周辺は多くの式内社が所在し、また『日本書紀』にも不思議な霊力を持つ山として描かれており、古くから神聖な山だったことが窺えます。

 

タマヨリ姫
あの神話で有名な天岩戸って実はここだった!?てことはここは高天原!?
恐らく後世に結び付けられたのだと思うわ。室町時代の文書によれば古くは「亀岩屋」と称していたみたいね。
トヨタマ姫

 

由緒

案内板

天岩戸神社

 

地図

奈良県橿原市南浦町

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