社号 | 酒屋神社 |
読み | さかや |
通称 | |
旧呼称 | |
鎮座地 | 京都府京田辺市興戸宮ノ前 |
旧国郡 | 山城国綴喜郡興戸村 |
御祭神 | 津速魂神、応神天皇 |
社格 | 式内社 |
例祭 | 11月3日 |
式内社
酒屋神社の概要
京都府京田辺市興戸宮前に鎮座する式内社です。
社伝によれば、神功皇后がこの地を通ったとき三個の酒壺を当社背後の山の上に安置し神を祀り、再度通った時に社殿を創建したと伝えられています。また、河内国で酒造りの職掌を担っていた中臣酒屋連が当地に来住して酒造りの技術を伝え、祖神を祀ったとも言われています。
当社の御祭神は「津速魂神」で、中臣氏の祖神とされる天児屋根命の曽祖父にあたる神です。
『新撰姓氏録』河内国神別に津速魂命の十九世孫、真人連公の後裔である「中臣酒屋連」が登載されており、この氏族は山城国には登載されていないものの、社伝ではこの氏族が当地に来住したと伝えています。
なお『延喜式』神名帳には中臣酒屋連が奉斎したと思われる神社として河内国丹比郡に「酒屋神社」が記載されており、現在は大阪府松原市の「屯倉神社」の境内に鎮座しています。
当社の南東2km強の地に式内社である「佐牙神社」が鎮座しており、酒造の神である「佐牙彌豆男神」「佐牙彌豆女神」を祀り、造酒司の奉幣があったと伝えています。
佐牙神社は当社と関連して酒造に携わった人々によって祀られたことが考えられます。『延喜式』神名帳でも佐牙神社の次に当社が記載されており、意図があって連続して記したのかもしれません。
御祭神を見れば、当社で酒造を司った氏族の祖神を、佐牙神社で酒造そのものの神を祀る格好となっています。このように役割分担が行われていたことも考えられますが、一方で『三代実録』貞観元年正月廿七日の条に記載される「酒殿神」は当社だとする説もあり、当社でも酒造神として信仰されていた可能性もあります。
当社と佐牙神社の存在から当地付近において酒造が盛んに行われたことが伺われる一方、酒造に関する神としての神格は早くも後退したようで、中世以降は松尾大社や梅宮大社が酒造の神として台頭し崇敬を集めるようになります。以後当社は興戸地区の氏神として祀り伝えてきたようです。
境内の様子
境内入口は境内の東側にあり、鳥居は無いものの灯籠が建っています。そこから石畳の敷かれた参道が西方へ伸びています。
参道は突き当りで右に折れ、そこで鳥居が南向きに建っています。
鳥居をくぐってすぐ右側(東側)に小さな手水舎があります。
正面に南向きの社殿が並んでいます。
拝殿は瓦葺・平入入母屋造の割拝殿で通路がやや右側に寄っています。舞殿風拝殿の多い山城国北部に対し、南部ではこのように割拝殿をよく見かけます。
石垣の上の空間に本殿が中門と透塀に囲まれて建っています。本殿は銅板葺で一間社流造に千鳥破風と軒唐破風の付いたもの。
中門手前、石段の左右に狛犬が配置されています。恐らく砂岩製。
これとは別に透塀内に狛犬が配置されていますが(構造の関係で写真には撮れず)、こちらの方が古そうです。
本殿前の左側(西側)に七社が相殿となった境内社が鎮座しています。祀られているのは左側から次の通り。
- 「事比羅神社」
- 「市杵島神社(厳島宮)」
- 「火産霊神社」
- 「三神社」(御祭神「天照大神」「応神天皇」「武甕槌神」)
- 「壷神社」(御祭神「植山毘売神」)
- 「豊受姫神社」と「伊邪那美神社」の相殿
- 「錦津姫神社」と「佐多彦名神社」の相殿
壷神社が気になるところで、社伝に神功皇后が三個の酒壺を背後の山に安置したと伝えていることからこれに関連するものかもしれません。
また、錦津姫神社及び佐多彦名神社は聞き慣れない神名であり、こちらも気になるところ。佐多彦名は猿田彦のことでしょうか。
境内の北東側には広大な空間があり、そこにも多くの境内社が鎮座しています。
この空間の広さからして、かつてはここに神宮寺があったのかもしれません。
境内北東の空間の最も手前側には「若宮春日神社」が鎮座。境内社の中でこの神社にだけ鳥居が建てられています。
若宮春日神社の右側(北側)には「天満宮神社」が鎮座。
天満宮神社の右側(北側)に森の中へ続く道があり、これを進んでいくとその先にあるのは水の溜まった沼状の窪地。その一画に「龍王神社」の社殿が建っています。
非常に鬱蒼かつじめじめとした空間となっています。
龍王神社の入口の右側(東側)に「多賀神社」が鎮座。西向きの若宮春日神社、天満宮神社に対し、この神社は南向きとなっています。
多賀神社の右側(東側)にも森の中へ続く道があります。龍王神社と違いこちらは斜面を上る形。ここを上っていくと「稲荷大明神」が鎮座しています。
由緒
案内板
酒屋神社
地図
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