社号 | 劔主神社 |
読み | つるぎぬし |
通称 | |
旧呼称 | 白石大明神 等 |
鎮座地 | 奈良県宇陀市大宇陀宮奥 |
旧国郡 | 大和国宇陀郡中宮奥村 |
御祭神 | 剣主根之命 |
社格 | 式内社 |
例祭 | 10月8日 |
式内社
劔主神社の概要
奈良県宇陀市大宇陀宮奥に鎮座する神社です。下宮奥地区の「剣主神社」、半阪地区の「剣主神社」と共に式内社「劔主神社」の論社となっています。
当社の創建・由緒は詳らかでありません。
当社は江戸時代まで「白石大明神」と称し、その名の通り白色の巨岩を磐座として信仰の対象としてきました。
江戸時代末期に社殿が造営されるまでは社殿が無く、背後の山頂にある白色を呈する硅石の巨岩群を御神体とする遥拝所的な祭祀場だったと考えられます。
かつては例祭で山頂の巨岩群に参拝し参籠するのが習わしだったようで、その辺りを奥の院とも称していたようです。
今でも行われているのかは不明ですが、例祭においては吉野町河原屋に鎮座する「大名持神社」の前の吉野川で禊をして川の石を一つ持ち帰り、この石を宮奥川に沈めて禊をした上で、この石を当社背後の山頂にある磐座の神前に供えたと言われています。
竜門岳を挟んで当地と吉野との関係の深さが窺われるところですが、一方で当地は宇陀地域と一続きの地形であるにも関わらず元禄十二年(1699年)までは宇陀郡でなく式上郡に属していました(「式上郡宮奥村 → 宇陀郡下宮奥村 → 宇陀郡中宮奥村 → 宇陀郡宮奥村」と変遷)。
これは西方の大峠を越えたところにある多武峰と関係が深かったことに由来することが考えられます。
このように当地は宇陀・吉野・多武峰それぞれの影響を受ける緩衝地であったことが窺えます。
現在は御祭神として「剣主根之命」を祀っています。江戸時代には御祭神は不明でしたが、伴信友は『神名帳考証』において葛木忌寸(葛城国造氏)の祖である「剣根命」を祀るものと唱え、現在の御祭神はこれに従ったものと思われます。
しかし「剣」の字からの連想との印象は否めず、また式内社「劔主神社」が当社に比定された根拠もはっきりしません。
当社は特定の氏族が祖神を祀ったものとするより、上述のように当社背後の磐座を信仰の対象とする素朴な自然信仰に端を発すると見るべきでしょう。
なお、当社背後には神宮寺として「宝林山瑞谷院」という寺院もあったとも伝えられています。
境内の様子
当社は宇陀川の上流、宮奥地区に鎮座しています。
東に隣接する下宮奥地区は古くから宇陀郡でしたが、当地は元禄十二年(1699年)までは式上郡に属していました。
下宮奥地区(旧・宇陀郡宮奥村)とは集落が一続きになっているのに、当地が主に大和川水系を郡域とする式上郡に属しているのは一見不思議ですが、これは多武峰との関係が深かったことに由来するものと思われます。
当社の境内は石垣の積まれた土地の高いところとなっており、入口には石段が設けられています。
石段の上に一の鳥居が南向きに建っています。
当社境内は杉の巨樹が多く、鳥居の傍らにも一対の大変見事な杉が聳え立っており、まるで注連柱のように境内入口に構えています。たとえ鳥居が無かったとしてもここが神域の入口であることを示すのに足るものと言えましょう。
鳥居の手前右側(東側)に手水舎が建っています。
鳥居をくぐって正面に社殿が南向きに並んでいます。
拝殿は銅板葺の平入入母屋造。コンクリートの基壇の上に建ち、床と壁の無い開放的な構造となっています。
拝殿の後方に石垣が設けられ、再び土地が高くなっています。
この石段上に二の鳥居が建ち、その奥に拝所(中門)および瑞垣が設けられています。
この瑞垣に囲まれてトタン葺の一間社春日造の本殿が建っています。
本殿の周囲に当社背後の山頂の磐座と同じ白色の岩石があるのですが、記録を失念していました。
当社は江戸時代まで「白色大明神」と称し、白色の岩石こそが当社の信仰の中核であるとも言えるものです。再訪の折にはしっかり記録し掲載する予定。
本社拝殿の左側(西側)にある建物。
恐らく社務所でしょう。
本社拝殿の手前右側(東側)には社務所とは別にこのような建物があります。
例祭などに用いられるのでしょうか?
上述のように当社境内は杉の巨樹が多く、境内に聳える一本一本がいずれも実に立派なものです。
江戸時代末まで当社に社殿は無かったと伝えられていますが、こうした杉の存在はここが神域として古くからのものであることを窺わせるものです。
地図
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